大きい(読み)オオキイ

デジタル大辞泉 「大きい」の意味・読み・例文・類語

おおき・い〔おほきい〕【大きい】

[形]形容動詞「おおきなり」の形容詞化。室町時代以後使われた》
ある物の形・容積面積などが、広い空間・場所を占めている。「―・い箱」「からだの―・い人」⇔小さい
量・数が多い。「質量が―・い」「声が―・い」「一〇より小さく一より―・い数」⇔小さい
程度がはなはだしい。「懸隔が―・い」「―・く右にそれる」⇔小さい
規模が並を超えている。「―・い事業」「―・い病院」「―・い台風」⇔小さい
範囲が広い。「問題を―・く三つに分ける」
心が広い。度量がある。包容力がある。「人物が―・い」⇔小さい
重要である。価値がある。「―・い事件」「あそこで点をとっておいたのが―・い」⇔小さい
年齢が上である。成長している。「―・い兄さん」「―・くなったら医者になりたい」⇔小さい
大げさである。「できもしないのに―・い口をきく」
10 いばっている。偉そうだ。「―・い顔をする」
[派生]おおきさ[名]
[用法]おおきい・おおきな――「大きい」には「大きい家」「あの家は大きい」「大きくなる」「大きかった」のように活用があるが、「大きな」は「大きな家」「大きな打撃を受けた」のように体言の前にしか使わない。◇「大きい顔」と「大きな顔」とでは、前者事実としての広さ、大きさを表しているが、後者は「大きな顔をする」のように主観的・心理的な判断を表す傾向がある。◇「大きな希望がわいてくる」「大きな過ちを犯した」など、抽象的な事柄を表す名詞にかかるときは、「大きい」よりも「大きな」を使うことが多い。これも「大きな」の上記のような特徴による。
[類語]大きな大いなるでかいでっかいどでかい馬鹿でかい大振り大形大柄大口大作り大粒粗大肥大嵩張かさばビッグでかでか巨大ジャンボジャイアントマクロマキシマムマンモスキングサイズ過大豪壮雄大壮大大規模壮麗広壮極大最大特大強大超弩級ちょうどきゅう大掛かり大仕掛け大大的

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精選版 日本国語大辞典 「大きい」の意味・読み・例文・類語

おおき・いおほきい【大】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙 ( 形容動詞「おおき(なり)」の形容詞化。室町時代以後の語 )
  2. ( 物の形について ) 空間を占める容積や面積が大である。
    1. [初出の実例]「あれにばけ物が有、大仏のしゃかが、随分おうきひと存したがそれよりおうきな」(出典:虎明本狂言・腥物(室町末‐近世初))
    2. 「そのかたちの大きい小さいに不関係(かかはらず)」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  3. 年長である。成長している。
    1. [初出の実例]「お花をば姉上(ねへ)さんと呼びお熊をば大(オホ)きい姉上(ねへ)さんと呼ぶ」(出典:人情本・春色籬の梅(1838‐40頃)一)
  4. 音量が大である。数量が多い。
    1. [初出の実例]「声が大きいかな」(出典:洒落本・遊子方言(1770)発端)
  5. 価値がある。重大である。
    1. [初出の実例]「そっとしたる事にも大きい事にも礼ばかりを用て、和を不用、事が不成也」(出典:応永本論語抄(1420)学而)
  6. 規模が大である。盛んである。豊かである。
    1. [初出の実例]「何某より大(オホ)きく暮したい、何某より能い身代になりたいと、さまざまの願ひ望みを起すも」(出典:寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初)
  7. 度量などが広い。寛大である。
    1. [初出の実例]「少(ちっ)との事は勘弁して気を寛(オホ)きく持って」(出典:くれの廿八日(1898)〈内田魯庵〉四)
  8. 程度がはなはだしい。たいへんである。
    1. [初出の実例]「信州川中嶋にをひて、大きく負(まけ)、三千余うたれて後は」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品三七)
  9. 大げさである。また、えらぶっている。ずうずうしい。
    1. [初出の実例]「『贋物と鑑定違ひして却て真物(ほんもの)を廉(やす)く売る事がある、憎くない奴ぢゃ』と愚得大人大きく出た」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉古物家)

大きいの語誌

( 1 )室町時代以後、「大きい」が生じたのは、古代からある対義語「小さし」の存在による。すなわち、「大きなり」(形容動詞)⇔「小さし」(形容詞)の組よりも、「大きい」(形容詞)⇔「小さい」(形容詞)の方が、より対称性がはっきりするからである。「高し」(形容詞)⇔「低(ひき)なり」(形容動詞)から「高い」(形容詞)⇔「低い」(形容詞)という組が形成されたのも、同様に考えられる。
( 2 )「大きい」が成立すると、もとの形容動詞「大きなり」は、連体形「大きなる」が「大きな」という連体詞の形で、連用形「大きに」が副詞の形で(関西の感謝の言葉「おおきに」もこれからきている)残存した。連体詞「大きな」が成立するとともに、それまでなかった対義の連体詞「小さな」も成立した。

大きいの派生語

おおき‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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