改訂新版 世界大百科事典 「パイナップルフラワー」の意味・わかりやすい解説
パイナップル・フラワー
pineapple flower
Eucomis
名まえにパイナップルとついているが関係はなく,花容が似ているのでこう呼ばれるユリ科の球根植物。南アフリカ,熱帯アフリカに約10種が自生し,とくに南アフリカのものが美しいので,観賞用に栽培される。エウコミス・コモサE.comosa Houtt.(=E.punctata L'Her.)は,直径8~12cmの鱗茎(球根)から,長楕円状披針形で長さ50cmほどの葉を数枚開出する。花は緑白色で桃色をおび,葉間から直立した太い花茎の上部に多数総状に群がってつき,径2.5cmほど。密集した円柱状の花序とその頂部に開出する苞葉が,パイナップルを連想させる。花がより大型になるエウコミス・ウンドラタE.undulata Ait.,花底に紫黒色の斑(ふ)が入るエウコミス・ビカラE.bicolor Backerなども栽培される。いずれも耐寒性のあるじょうぶな大型球根で,肥沃な耕土の深い土壌でよく育つ。日本では春に植え,夏に咲く花は切花にも利用され,香りがある。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報