フリーエージェント(読み)ふりーえーじぇんと(その他表記)free agent

翻訳|free agent

デジタル大辞泉 「フリーエージェント」の意味・読み・例文・類語

フリー‐エージェント(free agent)

プロスポーツ、特にプロ野球で、所属球団から選手契約を無条件で解除された選手。自由契約選手
プロスポーツ、特にプロ野球で、一定期間の試合経験を積み、どの球団とも自由に契約する権利を獲得した選手。FA

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精選版 日本国語大辞典 「フリーエージェント」の意味・読み・例文・類語

フリー‐エージェント

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] free agent ) =じゆうけいやくせんしゅ(自由契約選手)

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知恵蔵 「フリーエージェント」の解説

フリーエージェント

いずれの球団とも選手契約を締結できる権利を持つ選手。一般社団法人日本野球機構(NPB)では、1993年からフリーエージェント(FA)制度を採用している。FAにはNPB組織のいずれの球団とも選手契約を締結できる権利を持つ「国内FA」と、外国のいかなるプロ野球組織の球団も含め、国内外のいずれの球団とも選手契約を締結できる権利を持つ「海外FA」の2種類がある。
FAになる条件は、次の通り。1軍の試合に出ることのできる出場選手登録日数が145日以上のシーズンを1シーズンとし、合計8シーズンに達したときに「国内FA」となる資格が取得できる。ただし、2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手は、合計7シーズンで「国内FA」となる資格を取得する。また、いずれの選手も合計9シーズンに達したときに「海外FA」となる資格が取得できる。なお、出場選手登録日数が145日に満たないシーズンがある場合は、それらのシーズンの出場選手登録日数をすべて合算し、145日に達したものを1シーズンとして計算する。
FAの資格を取得した選手がFA宣言するには、日本シリーズが終了した日の翌日から土、日、祭日をのぞく7日間以内に在籍している球団に対してFAの権利行使を表明する必要があり、在籍球団の代表者と連名コミッショナー宛てにその旨を文書で申請しなければならない。そしてこの期間を経た翌日に該当選手は「FA宣言選手」として公示され、更にその翌日から旧球団を含むいずれの球団とも次年度選手契約締結交渉を行うことができる。なおFAの資格を取得しても「FA宣言選手」として公示されなければ、権利は翌年以降に持ち越される。
一度FAの権利を行使し、その後NPBに所属するいずれかの球団と契約した選手は、そこから出場選手登録が4シーズンに達したときに「海外FA」となる資格を取得することができる。
FA宣言選手の翌年度の年俸は、直前のシーズンの額(旧年俸)を上限とし、減額となる場合に下限はない。ただし旧年俸及び成績に関する特別な事情をコミッショナーに文書で申請し、コミッショナーがこれを認めた場合はこの上限を超える年俸で契約することができる。
FA宣言選手が権利を行使する場合、獲得球団は旧球団に対して補償を行わなければならない。ただしその権利を行使した選手が旧球団における外国人選手を除いた旧年俸の上位3位までであればAランク、4位から10位までならBランク、11位以下ならCランクとし、Cランクに属する選手だった場合は補償の必要はない。しかしA及びBランクに属する選手の場合は、旧球団の選択により、選手+金銭による補償か、金銭のみの補償が必要となる。
選手による補償は、獲得球団が保有する支配下選手のうち、外国人選手及び獲得球団が任意に定めた28人(プロテクト枠)を除いた選手から、旧球団が1人を選んで獲得することができる。更にこの場合には金銭による補償も必要で、FA宣言選手が初めてその権利を行使したのであれば、Aランクに属する選手なら旧年俸の50%、Bランクなら旧年俸の40%の金銭を旧球団に支払わなければならない。なおFA宣言選手による権利の行使が2度目以降の場合は、この形における必要な金銭は、Aランクの場合は旧年俸の25%、Bランクの場合は20%となる。
旧球団が金銭のみによる補償を選択した際には、FA宣言選手が初めてその権利を行使した場合、Aランクに属する選手ならば旧年俸の80%、Bランクなら旧年俸の60%の金銭を獲得球団は支払わなければならない。権利の行使が2度目以降の場合は、Aランクなら旧年俸の40%、Bランクなら旧年俸の30%の金銭を支払うこととなる。
18年オフまでにこのFA権を行使して日本国外の球団へ移籍した選手は31人、日本国内の他球団へ移籍した選手は延べ90人に上る(同一人物で2度行使した場合は2人と数える)。国内の他球団へ移籍した90人のうち最も多くの選手が移籍した、つまり最も多くの選手をFAで獲得したのは読売ジャイアンツ(巨人)で26人。これは2番目に多い福岡ソフトバンクホークス(ダイエー時代を含む)の13人を大きく引き離している。このためこの制度は、巨人のような潤沢な資金を持つ球団に有利に働いているのではないかという声がある。
その一方で、18年オフに巨人の内海哲也、長野久義がプロテクト枠28人の名簿に記載されていなかったため、FAの補償選手に指名されて移籍した。両選手ともドラフト1位(内海指名時の名称は自由獲得枠)で入団し、生え抜きとして第一線で活躍してきただけに、ファンからは悲鳴が上がることとなった。

(場野守泰 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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