改訂新版 世界大百科事典 「プッシュプル増幅器」の意味・わかりやすい解説
プッシュプル増幅器 (プッシュプルぞうふくき)
push-pull amplifier
電力増幅器の一形式。正負の入力信号に対して2個の出力トランジスターが対称に動作する。出力波形が正負対称になるため偶数次高調波ひずみがなく,高忠実度の出力が得られる。無信号時の直流入力電流に応じて,A級,AB級,B級,C級にわかれる。A級,AB級,B級はオーディオ増幅器で用いられ,C級は無線周波の電力増幅器に用いられる。従来の同じトランジスターを用いたプッシュプル回路では出力を合成するために出力トランスが必要であった(図1)。現在はnpnとpnpで同仕様の相補トランジスター対が用意され,出力トランスの不要なシングルエンドプッシュプル回路が広く用いられている(図2)。
執筆者:柳沢 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報