プッシュプル増幅器を構成する回路。特性の等しい二つの真空管、またはトランジスタを対称的に接続し、大きさの等しい逆位相の入力信号を加え、入力信号の正負の部分をそれぞれ増幅し、これを重ねて大出力とする回路。その動作が押し(プッシュpush)たり、引い(プルpull)たりするようにみえるところからプッシュプルといわれる。ひずみの少ない大出力が得られるので、増幅器とか発振器に用いられる。
増幅器はオーディオ機器などの大出力用回路として用いられ、A級増幅器(出力電圧波形が入力波形と相似となるもの)を組み合わせたA級プッシュプルと、B級増幅器(出力電圧波形が半周期だけ入力波形から遅れるもの)を組み合わせたB級プッシュプル回路とがあり、後者は効率はよいがクロスオーバーひずみが生ずる。トランジスタを用いる場合は、pnpとnpnを組み合わせたプッシュプル回路(コンプリメンタリ回路)、低インピーダンスを利用したOTL(無変圧器)回路も構成できる。
発振回路にプッシュプル回路を用いると、出力および電力効率は大きく、高調波ひずみの少ない安定性のよい回路となる。さらに電極間の容量が直列となるため小さく、超高周波発振特性はよい。
[岩田倫典]
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