プラクリティ(その他表記)prakṛti

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラクリティ」の意味・わかりやすい解説

プラクリティ
prakṛti

インド哲学用語。根本的な質料因サーンキヤ学派の重要な概念で,プラダーナ pradhānaともいい,通常は根本原質と訳される。この学派は世界原因を二元的にとらえ,神にあたるプルシャ puruṣaは男の意味であり,純粋精神であるが,これに対してプラクリティという物質的原理を立てた。これは活動性を固有し,純質 sattva,激質 rajas,翳質 tamasという3つの構成要素から成っているので,トリグナ triguṇa (3つの性質をもつもの) ともいわれる。

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世界大百科事典(旧版)内のプラクリティの言及

【サーンキヤ学派】より

…活動することなく,その作用はただ物質的原理を観察(ダルシャナdarśana)するのみである。また物質的原理はプラクリティprakṛtiまたはプラダーナpradhāna(〈自性〉)と呼ばれ,唯一の実体であって,永遠で活動性をもち,非精神的な質量因である。物質的原理は三つの構成要素トリグナtriguṇa(〈三徳〉)から成る。…

【二元論】より

…【茅野 良男】
[インドの二元論]
 インドでは,二元論はサーンキヤ学派によって代表される。それによれば,世界は本来,純粋知,精神原理であるプルシャと,無知性の物質原理である自性(プラクリティ)という,相互にまったく無関係の二つの原理よりなるとされる。ところが,ここに無知が介在すると,プルシャは自性に関心を持つようになる。…

※「プラクリティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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