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概念 がいねんconceptus; Begriff; concept

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

概念
がいねん
conceptus; Begriff; concept

一般にAの概念といえばAについての経験的事実内容ではなく,Aに関する論理的,言語的意味内容をさす。概念思惟の発生は古くギリシア,中国,インドの哲学にみられ,ことにギリシアのソクラテスの帰納法は普遍的概念規定導出の試みとみることができる。これを受継いだプラトンやアリストテレスの普遍的価値や普遍的本質としてのイデアやエイドス (→形相 ) 探究についても同様である。経験論における概念は,感覚的個別的表象の共通内容を反省的に抽象した結果として得られる。この抽象された内容はいわば事物の本質的特徴であるが,論理学では概念の内包と呼ばれ,それの適用される存在者の範囲を概念の外延という。概念は通常言語表象であり,この言語的表現を名辞という。複数の概念間の関係から判断が成立し,複数の判断の関係として推理が成立する。概念の成立に関して,理性論はこれを理性または悟性の概念に基づく認識 (概念認識) のみを真の認識とする。カントの概念は直観の多様な必然的総合的統一としての純粋悟性概念 (範疇) と呼ばれ,悟性が先天的に所有する思惟形式である。ヘーゲルの概念は,いわゆる形式論理学とは逆に,有から絶対的理念へと具体化することによって普遍性を得る。デューイは概念を生活経験の発展に伴いつつ変化し,これを推進する道具であるとする (概念道具説) 。概念の実在性は古くから論議の的となり,中世の普遍論争はその著しい例で,アベラールの概念論はこれを調停する学説とされる。概念および命題の意味を論理的に明晰なものとすることを哲学の課題とする,現代の論理実証主義も,唯名論に傾きつつも,経験的所与のみを実在とする立場からは去っている。なお立場によっては概念,観念理念表象が相互に区別されない場合もあるが,基本的には観念はイデー (理念) として概念と意義を異にし,表象は抽象的対象を表わす概念に対して具体的直観的対象を表わす。

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デジタル大辞泉の解説

がい‐ねん【概念】

物事の概括的な意味内容。「概念をつかむ」「文学という概念から外れる」
concept》形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される。内包と外延をもち、言語によって表される。

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百科事典マイペディアの解説

概念【がいねん】

ラテン語conceptio,英・仏語concept,ドイツ語Begriffなどの訳。人間の対象把握の根本形式にしてその産物であり,観念イメージなどと同義に用いられることもある。
→関連項目外延カテゴリー判断

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世界大百科事典 第2版の解説

がいねん【概念】

概念に相当する現代西欧語(英語,フランス語concept,ドイツ語Begriff)の語源が〈包括する〉〈把握する〉等を意味することからも明らかなように,概念とは,個々の対象,いわゆる個物(個体)よりも複数の個物を包括的,概括的に捕捉する,人間,広くは生物体の対象把握の一根本的形式とその成果をいう。観念,思念,想念等も同類語と考えられ,また,たとえば〈犬〉という概念が単数,複数の犬の心象イメージを想い起こさせることなどもあって,概念は心象,イメージも合わせて意味し,あるいはそれらと同一視されることがまれでない。

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大辞林 第三版の解説

がいねん【概念】

ある事物の概括的で大まかな意味内容。
〘哲〙 〔 concept; ドイツ Begriff〕 事物が思考によって捉えられたり表現される時の思考内容や表象、またその言語表現(名辞)の意味内容。
形式論理学では、個々の事物の抽象によって把握される一般的性質を指し、内包(意味内容)と外延(事物の集合)から構成される。
経験論・心理学では、経験されたさまざまな観念内容を抽象化して概括する表象。
合理論・観念論では、人間の経験から独立した概念(先天的概念・イデアなど)の存在を認め、これによって初めて個別的経験も成り立つとする。 〔西周にしあまね「致知啓蒙」(1874年)にドイツ語 Begriff の訳語として載る〕 → 観念(補説欄)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

概念
がいねん
conceptiラテン語
concept 英語 フランス語
Begriffドイツ語

特定の個人のことを考えるときには、その人の顔や声などが浮かんでくるように思われることもある。これに対して、人間一般を考えるときには、この一般の顔とか声とかいったものを思い浮かべることはむずかしいように思われる。そこで、伝統的論理学の教科書のなかには、個々の物について、知覚・記憶に現れる表象とは別に、一般的なものを考えるときに心のなかに生ずるものを「概念」とよび、これが判断の基本要素となる、としているものもある。だが、心のなかでおこる事柄については、個人差があると思われるので、これをもとに客観的な議論を展開するのはむずかしいことである。伝統的論理学でいう概念は、むしろ、普通名詞のようなものだと考えたほうが理解しやすい。普通名詞は、一般に複数の個物に当てはまる。たとえば、世界には何十億の個人がいるが、このすべてに対して「人間」という普通名詞、つまり概念が当てはまるのである。しかし、特定の個物についての概念を考えることもできる。たとえば、夜空に毎夜輝いていた光片を、観察を重ねた結果、それはみな特定の星の姿だったと決めたときには、その星をさす言語表現ができる。この表現は、その光片の観察のすべてに当てはまる概念だといえるのである。なお、新しく接した一つの事柄についての経験を重ね、その事柄によく通ずるようになることを、その事柄についての「概念をつかむ」といった言い方をすることもある。[吉田夏彦]

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世界大百科事典内の概念の言及

【イメージ】より

…ここで,〈いくつかの感覚的性質を伴う〉というのは,たとえば三角形の表象は感覚的性質からまったく切り離されると,もはやなんらのイメージをももちえなくなるからであり,また,もし対象の感覚的性質がすべて保たれていたら,イメージではなくて感覚印象のコピーになるからである。
[イメージと観念]
 上述のようなものとしてイメージは感覚印象や感性知覚から観念概念へと赴く途上にあり,したがって,感性的認識と知的認識との交差路に位置している。イメージはその起源を感覚印象のうちにもってはいるが,感覚印象の場合のように,感官の末端に興奮も見られないし,単なる主観的な状態でもない。…

※「概念」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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