ヘッジ会計(読み)へっじかいけい(その他表記)hedge accounting

知恵蔵 「ヘッジ会計」の解説

ヘッジ会計

ヘッジとは、将来のリスクを少なくする、あるいは回避するための行動、取引。企業の場合には、保有資産や負債の価格変動リスク、為替の変動リスクを先物取引や為替予約、オプションなどのデリバティブ取引により軽減することになる。前者(リスクを負う資産・負債)をヘッジ対象、後者(リスク軽減手段としてのデリバティブ取引)をヘッジ手段という。1999年1月に政府の企業会計審議会により公表された「金融商品に係る会計基準」によると、ヘッジ会計は、へッジ取引のうち一定の要件を満たすものについて、ヘッジ対象にかかる損益とヘッジ手段にかかる損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を会計に反映させるための特殊な会計処理を意味する。例えば、商品(その評価は取得原価)の価格変動リスクをヘッジするために、多くの場合、商品先物取引(これはデリバティブ取引なので時価評価)をするが、その場合、損益の計上時期がずれてしまう。ヘッジ関係を適切に示すためには、この計上時期を一致させる必要があるので、ヘッジ会計が必要となる。具体的には繰延ヘッジと呼ばれる方法が用いられる。すなわちデリバティブ取引の評価損益をヘッジ対象の損益が認識されるまで繰り延べ、双方の損益を当期に認識しない、すなわちデリバティブを時価評価しないということである。ヘッジ会計は2001年3月期から、導入されている。

(小山明宏 学習院大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

会計用語キーワード辞典 「ヘッジ会計」の解説

ヘッジ会計

デリバティブ取引において、ヘッジの方法に応じた特殊な会計処理の方法のことです。デリバティブ取引には、ヘッジ・裁定投機の3つの役割がありこのうちのヘッジ(先物取引など)に関する会計方法がヘッジ会計です。通常ヘッジ会計では、繰延ヘッジが用いられていますが例外処理として、時価ヘッジや特例処理という方法があります。

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