ペータル(読み)ぺーたる(英語表記)Petar Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペータル」の意味・わかりやすい解説

ペータル(1世)
ぺーたる
Petar Ⅰ
(1747―1830)

オスマン・トルコ帝国内の自治国、モンテネグロMontenegroの統治者であるブラディカVladika(主教兼君主)(在位1784~1830)。16世紀以後、モンテネグロはブラディカが統治する神聖国家となったが、ペータル1世は国内の諸部族を和解させ、国家統一の基礎を築いた。地の利を生かしてオスマン軍との戦いに勝利を収め、1796年にモンテネグロ初の法律を制定。また外交政策の面では、ロシアと友好関係を維持し、協調行動をとった。アドリア海の良港コトルを領有することはできなかったが、国土をほぼ2倍に拡大し、安定した政権を確立した。彼によって、後継者が諸改革を進める基礎が固められ、のちに「偉大にして神聖なブラディカ」と称された。

[柴 宜弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のペータルの言及

【ニェゴシュ】より

…モンテネグロの生れ。1830年に叔父の跡をついでモンテネグロの聖俗界の長であるブラディカ(主教)に就任(ペータル2世Petar IIとよばれる),三権分立の制度を導入するなど近代化に尽くす。若くして詩作を始めたが,2度のロシア旅行で見聞を広め,《小宇宙の光》(1845)に天国を追放された人間の悲しみを,最高傑作の叙事詩《栄光の山並み》(1847)では民族の解放と自由の尊さを雄渾無比にうたいあげた。…

※「ペータル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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