日本大百科全書(ニッポニカ) 「オスマン」の意味・わかりやすい解説
オスマン
おすまん
George-Eugène Haussmann
(1809―1891)
フランスの政治家。パリ生まれ。七月革命後に官界に入り、1848年末の大統領選挙ではルイ・ナポレオンのために活躍。この功績によってバール、ヨンヌ、ジロンドの各県知事を歴任、1853年にはセーヌ県知事に任命され、17年間この地位にとどまった。この間の彼の最大の仕事は、人口急増に由来する極度の不衛生、絶えざる暴動とバリケードの都パリの大改造であった。リボリ通り、セバストポル、サン・ジェルマン大通りなどの道路網、上下水道の整備、多数の公園などは彼の手に成るものである。近代都市パリは彼の作品であった。しかし、これらの事業の費用調達のために彼がとった方策は巨額の財政赤字をもたらしたために、非難の的になり、1869年に知事を解任された。
[阪上 孝]
『河野健二編『フランス・ブルジョア社会の成立』(1977・岩波書店)』