改訂新版 世界大百科事典 「ホームズ父」の意味・わかりやすい解説
ホームズ[父]
Oliver Wendell Holmes
生没年:1809-94
アメリカの医学者,詩人,作家。ハーバード大学で医学を学び,パリ留学(1833-35)から母校の解剖学・生物学教授(1847-82)にいたる間も文筆活動を続けた。《朝食テーブルの独裁者》(1858)をはじめとするエッセー風の読物や小説《エルシー・ベナー》(1861)などで文名を高めたが,奴隷問題,米墨戦争,南北戦争に揺れる社会にあっても社会的関心を見せず,J.R.ローエルにさえ〈徹底した保守主義者〉と批判された。古き良きボストンをこよなく愛しながら,そこが移民や社会変革などで根底から変わりつつあることにも気づかぬようであった。なお,同名の息子は合衆国最高裁判所裁判官をも務めた法律家である。
執筆者:後藤 昭次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報