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アメリカ・メキシコ戦争ともいう。1846-48年,アメリカ合衆国が太平洋岸まで領土を拡張する過程で引き起こしたメキシコ領土への侵略戦争。直接の原因は1845年12月メキシコの旧領土テキサスが米連邦へ加入したこと,合衆国がカリフォルニアとニューメキシコの買収による併合を要求したことなどにある。戦闘は46年4月25日,アメリカ大統領ポークの命令でリオ・グランデ川流域の係争地に前進したZ.テーラー軍とメキシコ軍との衝突から始まった。合衆国軍は3方面からメキシコ領奥深く侵攻した。テーラー軍は同年5月18日リオ・グランデ川を越えて西進し,47年2月ブエナ・ビスタでサンタ・アナ軍を破った。S.W.カーニー軍は46年7月3日サンタ・フェ街道を経てニューメキシコからカリフォルニアへ進軍し,47年1月ロサンゼルスを占領した。一方,W.スコット軍は47年3月29日ベラクルスを占領し,9月14日にはついにメキシコ市へ入城した。またJ.D.スロート提督麾下(きか)の合衆国海軍は太平洋岸を制圧した。全戦線で合衆国軍はメキシコ軍の抵抗を排除して軍事的に優位に立ち,47年8月末から9月初めの密使N.P.トリストによる和平交渉は失敗に終わったが,翌48年2月2日グアダルーペ・イダルゴ条約Treaty of Guadalupe Hidalgoで,合衆国はメキシコにテキサスへの請求権を放棄させ,ニューメキシコとカリフォルニアを譲渡させ,これに対し1500万ドルを支払うことが定められた。この結果メキシコは国土の半分近くを失う一方,合衆国は太平洋岸一帯まで領土を拡大し,太平洋とアジアへの進出の足場を築いた。また同条約成立の直前にカリフォルニアで金鉱が発見され,ゴールドラッシュが始まった。
執筆者:富田 虎男
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