日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポテブニャ」の意味・わかりやすい解説
ポテブニャ
ぽてぶにゃ
Александр Афанасьевич Потебня/Aleksandr Afanas'evich Potebnya
(1835―1891)
ウクライナの言語学者、スラブ学者。いわゆる「ハリコフ言語学派」の指導者。ただし、その仕事は、一般言語学、ロシア語学、ウクライナ語学、スラブ方言学、比較歴史文法だけでなく、文学理論、民俗学、民族学にも及んでいる。一般言語学の分野ではおもに言語と思考、言語と民族、言語の起源の問題を扱っているが、この分野での主著『思考と言語』(1862)や、『文学理論ノートより』(1905)に含まれた詩的言語論は、ロシアのシンボリストあるいはフォルマリストにさえも少なからぬ影響を与えている。ロシア語関係の主著としては『ロシア文法ノートより』全4巻(1874~1941)があげられる。
[桑野 隆 2018年8月21日]