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民族 みんぞく ethnic group; nation; people

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

民族
みんぞく
ethnic group; nation; people

一定地域に共同の生活を長期間にわたって営むことにより,言語,習俗,宗教,政治,経済などの各種の文化内容の大部分を共有し,集団帰属意識 (→エスニック・アイデンティティ ) によって結ばれた人間の集団の最大単位をいう。

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知恵蔵2015の解説

民族

文化、言語、生活様式などの特定の要素を絆(きずな)として共有し、「われわれ」という意識を持った人間集団。(1)文化、宗教、言語、生活様式、肌の色など身体的形質を標識として、他集団との相違を確認できる客観的な側面と、(2)歴史意識、利害関心、未来志向などを介して、集団に共属しているという意識や感情の主観的な側面がある。そのため民族やエスニック・グループは固定した集団ではなく、歴史的に変化し、社会的文脈によって客観的標識も異なる。また、少数民族がその内にさらに少数集団を含むことも多い。民族とエスニック・グループとの相違は不明確である。ただし民族という用語の方が古く、また「民族自決」「少数民族運動」といった用法のように、集団が自治や国家形成など政治共同体としての要求を持つと認められた場合には、民族と呼ばれることが多い。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

みん‐ぞく【民族】

言語・人種・文化・歴史的運命を共有し、同族意識によって結ばれた人々の集団。「騎馬民族」「少数民族

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百科事典マイペディアの解説

民族【みんぞく】

日本語の〈民族〉は包括的な概念であり,ナショナリズム国民国家への志向)の主体としての国民nationをさす場合,国民国家内部における〈われわれ〉意識をもつエスニック集団エスニシティ)をさす場合,さらに国民国家を形成する以前の〈われわれ〉意識をもつ集団(部族など)をさす場合がある。
→関連項目少数民族人種想像の共同体民族自決民族浄化ユダヤ人

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世界大百科事典 第2版の解説

みんぞく【民族】

ギリシア語のエトノスethnos(ドイツ語ロシア語では,ふつうこの語形を用いる),それから派生した英語のethnic groupあるいはethnic unitに対応する学術用語であるが,日常用語としても用いられる。多くの民族学者(文化人類学者)の考えでは,民族とは次のような性格をそなえた集団である。第1に,伝統的な生活様式を共有する集団である。つまり語族や語群が言語の系統分類にもとづき,人種が身体形質を基準とした分類であるのに対して,民族は文化にもとづいて他と区別される集団なのである。

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大辞林 第三版の解説

みんぞく【民族】

「われわれ…人」という帰属意識を共有する集団。従来、共通の出自・言語・宗教・生活様式・居住地などをもつ集団とされることが多かった。民族は政治的・歴史的に形成され、状況によりその範囲や捉え方などが変化する。国民の範囲と一致しないことが多く、複数の民族が共存する国家が多い。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民族
みんぞく
ethnic group

あえて定義すれば、他の集団から区別されるなんらかの文化的共通項を指標として、互いに伝統的に結ばれていると自ら認める人々、もしくは他の人々によってそのように認められる人々、といえる。この場合、文化的指標とは土地、血縁、言語などの共有意識や、宗教、神話・世界観、社会組織、経済生活、その他の生活様式のあらゆる領域のなかから、当該の人々にとって意味のある指標として選択される多様な基準を意味する。学術上、人種は人間の身体的特徴を基準にした人間範疇(はんちゅう)設定の試みであるのに対し、民族は基本的に、文化的特徴を指標にした人間範疇であるとして区別されるが、民族観念も人種観念も、いずれも人間による人間自身の分類行為の一つであり、それ自体が文化の所産にほかならないということを忘れてはならない。
 学術上の民族分類が言語を基準にして行われることが多いのは、共通の言語が民族成員間のコミュニケーションを可能にする大前提としてあり、また言語が人々の思考様式や心性と密接にかかわっていると考えられるからである。民族意識の覚醒(かくせい)において民族言語が重視されることが多いのも、おそらくこのことと関係している。しかし、たとえば言語を指標とした「ゲルマン民族」とか「ラテン民族」といったなかば通俗的ともいえる大範疇からは、社会組織や経済生活などの文化要素は論理的に捨象されていることに注意しなければならない。同様に、「農耕民族」「遊牧民族」あるいは「騎馬民族」といった粗雑な範疇は、固有名詞をもつ個別的な民族に言及するものではなく、文化要素のうちでも、とくに生業形態や生活様式の重要性に着目した人間分類であり、この用語法から、安易にその他の文化要素にまでも共通性を想定することは避けるべきである。[富沢寿勇]

民族観念の背景

「未開民族」といった、「民族」の用語法のうちでも極端な粗さを伴う大範疇は、「文明」に属すると意識する人々による、文明対未開という二項対立思考に基づく人間分類の端的な例である。とくに「地理上の発見」を契機とした西欧人たちに、この傾向が顕著にみられたのであり、また時代をさかのぼって古代ギリシア人が使ったバルバロイbarbaroiということばは、言語の通じない異民族への蔑視(べっし)の観念に基づいていたらしい。また、中国においては古代の南蛮(なんばん)、北狄(ほくてき)をはじめ、(ヤオ)(リャオ)(トウ)(ロロ)、蛋民(たんみん)などのように、人間以下の存在である獣や虫の意を加えて、周辺の異民族の名称を表した文字が、何千年にもわたって用いられた。古代日本においても、辺境の異民族に対して蝦夷(えみし)、熊襲(くまそ)、隼人(はやと)などのように動物を表す字をあてて記されたし、室町時代以降の南蛮人などの表現にも、同様の発想が推測される。このような思考を自民族中心主義(エスノセントリズムethnocentrism)というが、これは古今東西にわたり、けっして珍しい現象ではなく、むしろあらゆる人類社会にほぼ普遍的にみられるものである。
 そもそも人類という概念を、われわれが今日理解する意味でもつようになったこと自体、歴史的にけっして古いことではない。世界の諸民族の多くにおいて、民族名称(自称)自体が、その民族の土着語で動物からは区別されるヒトを意味することが、この事実を裏づけている。たとえば、北海道・樺太(からふと)(サハリン)の「アイヌ」、台湾の「アタヤル(タイヤル)」をはじめ、アフリカの「バントゥー」やカナダ極北域エスキモーの「イヌイット」などがよい例である。ともあれ、西欧人による大航海時代を経て、さらに交通、コミュニケーション網の発達により、多種多様な諸民族、諸人種間の出会いが飛躍的に増加するようになったが、同時に、人類の多様な存在形態にもかかわらず、その根底には他の生物からは明瞭(めいりょう)に区別される共通項が認識されるようになってきた。とくに18世紀の中ごろ、リンネが人間にホモ・サピエンスという学名を与えて、これを単一の種と規定したのは画期的なことである。しかも18世紀の末ごろまでには、地球上のあらゆる地域の人々の存在が確認され、今日的な意味での人類という概念が名実ともに成立したといってよい。もちろん、それ以前から現在に至るまで、特定の人々によって異質ととらえられた民族・人種への言及や記述は盛んに行われている。その際、民族と人種の学術上の区別が、かならずしも明瞭に意識されていたわけではない。たとえば、ある特定の人間社会の記述に、人々の肌の色や頭、髪などの形状や身長などの身体的特徴と、地理上の居住空間、衣装、倫理観、知性、言語、宗教および生業形態などが併記されていた例は少なくない。[富沢寿勇]

現代的意義

現代においては、人類は個々の国家という政治的枠組みによって、大分割されているともいえる。国民(ネイション nation)を、このような国家の成員と規定すれば、それはおのずから政治的ニュアンスの濃厚な社会範疇であるということになる。しかし、独立国家の枠組みの下に国民形成が進行し、国語や国民文化あるいは国民意識とかいえるものが創出されるようになると、国民が民族の様相を帯びるようになり、実際、同義的に認識されるような例は少なくない。もちろん、民族と国民とは、今日の世界の現実を把握するためには、原理上、峻別(しゅんべつ)しなければならない。なぜなら、さまざまな歴史的状況や社会体制とも絡んで、民族の境界と近代国家の境界とは一致しないことが普通であり、また、単一国家のなかに多数の民族が共存する事例は非常に多いからである。いわゆる複合民族国家においては、特定の民族集団(エスニック・グループ)と、普通は文化的に異質ながら、それを包摂する全体社会(国家)との関係や、あるいはまた、国家運営の主導権を握る多数民族などと他の諸集団との関係のあり方が、当該集団にとっても、当該国家にとっても、きわめて重要な意味をもつ。
 民族は、本質的に民族範疇として存在すると考えられるが、繰り返し述べているように、これは民族自身による自覚か、あるいは、他集団による認識が契機となるものと考えられる。しかし、民族というものが現実に活性化し、具体的に意味をもちうるのは、直接的にせよ、間接的にせよ、外部とのなんらかの関係を通じて、民族自身が自己の存在(の特殊性)、あるいは、いわば民族意識と一般によばれるものを自覚したときであることはいうまでもない。このような民族の自らの認識とそれに依拠した象徴的行為の体系が一般にエスニシティ(ethnicity)とよばれる現象である。民族の境界設定に用いられる指標は、社会生活全般に及ぶこともあれば、社会生活の特定分野に限定される場合もある。具体的には、たとえば衣服、言語、家屋形態、一般的生活様式などのように明示的なものから、価値観、倫理観、行為基準などに至る文化内容のなかから、民族あるいはエスニシティの基準となる文化特徴が象徴として選択されているといえる。重要なのは、異なる民族範疇の間で、人員の個別的移動、接触、婚姻、同化、等々の現象が生じても、また、民族あるいはエスニシティの指標となる文化特徴自体が歴史的に変容しても、民族範疇というものが存在し続ける限りにおいて、成員と非成員(ヨソ者)との間の二分化作用は持続するということである。総じて、民族というものを定義する場合、それが血のつながりや祖先伝来の土地、言語などの何らかの本源的、不変的な実体によって定義されるという説(本源論essentialistあるいは原初論primordialist)と、それが社会的・歴史的状況のなかで定義、再定義を繰り返していくものであり、極端な場合、民族は「発明」されさえするという説(状況論cricumstancialist)という二つの大きな立場がある。注意を要するのは、状況論的に成立した民族も、血や土地や言語による結び付きを実体化あるいは本源化していく現象は少なくなく、ここに今日の多くの民族問題の微妙にして重要なる論点が隠されているともいえる。[富沢寿勇]

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世界大百科事典内の民族の言及

【人類】より

…現在,地球上に生息する人類を,形態学的な差異あるいは遺伝学的特性に基づいていくつかのグループに分けて人種と呼ぶが,人種の起源や人種間の系統的類縁については明らかにされていない点が多い。また人類を文化の差異によって分け,同じ文化を共有する人々をまとめて民族と呼ぶ。人種を考える場合には人類の系統的・発生的側面に,また民族を考える場合には生活面を重視しその地縁的・文化史的側面に着目することになろう。…

【部族】より

…文化人類学(民族学)は民族誌的調査にあたって,その研究対象とする人間集団を指して恣意的に部族と呼びならわしてきた。よく似た語に種族,民族がある。…

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