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思考 しこう thinking

翻訳|thinking

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

思考
しこう
thinking

思惟ともいう。はっきりした定義はないが,一般的には,ある対象,事態ないしはそれらの特定の側面を,知覚の働きに直接依存せず,しかもそれと相補的な働き合いのもとで,理解し把握する活動または過程をさす。

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デジタル大辞泉の解説

し‐こう〔‐カウ〕【思考】

[名](スル)
考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること。「思考を巡らす」「思考力が鈍る」
哲学で、広義には、人間の知的精神作用の総称。狭義には、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する知性の働きをいう。
心理学で、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する心の働きや機能をいう。

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百科事典マイペディアの解説

思考【しこう】

思惟(しい)とも。精神の諸機能のうち情意的な機能に対する知的な機能から,感覚,知覚,簡単な記憶等を除いた複雑な機能をいう。その作用の本質は,われわれに感覚を通じて与えられた与件を適切に操作・統合して,複雑な環境に適応させるにある。

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世界大百科事典 第2版の解説

しこう【思考 thinking】

思考とは,実際に行動として現すことを抑制して,内面的に情報の収集と処理を行う過程である。この場合,機能的に見て思考を二つの型に分けることができる。一つは〈合理的思考〉であって,問題に直面したときにそれにふさわしい解決をめざすという意味で,〈方向づけられた思考〉とも呼ばれるもう一つは〈自閉的思考〉であって,空想のようにとりとめのない気まぐれな連想によって生じる非現実的思考である。前者は,問題解決のための論理的推論を導く過程であり,概念,判断,推理から成る。

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大辞林 第三版の解説

しこう【思考】

( 名 ) スル
考えること。また,その考え。 「誤った-」 「余は-す,故に余は存在す/吾輩は猫である 漱石
〘哲〙 〔thinking〕 意志・感覚・感情・直観などと区別される人間の知的作用の総称。物事の表象を分析して整理し,あるいはこれを結合して新たな表象を得ること。狭義には概念・判断・推理の作用による合理的・抽象的な形式の把握をさす。思惟。 〔明治期につくられた語〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

思考
しこう
thinking英語
penseフランス語
Denkenドイツ語

文字どおり思い考えることが思考であるが、論理学のうえでは、さまざまな概念を結合して判断し、さらに判断を結合して推理することが思考とよばれる。思考はそれぞれの思考内容においては異なるが、形式においては共通性をもつ。形式論理学は、この形式のうえでわれわれが正確に思考するための原理や原則を示す学である。たとえば同一律や矛盾律はそうした原理であって、思考が正確であるための、つまり論理的に整合的であるための基本条件とされる。
 哲学では思考を思惟(しい)とよぶこともあるが、これについてはさまざまな見方がある。一般に思考する能力は知性とか理性とよばれ、感情や意志から区別されるが、「われ思う、故にわれ在り」で有名なデカルトは、思考を感情や意志の働きをも含めた広義での人間精神の働きとしてとらえ、そうした思考を精神(心)の属性と考える。またカントによると、思考は自発的な悟性の機能であって、それは受容的な感性を通じて与えられた直観内容と結び付いて、初めて対象についての認識を与える。つまり単なる思考だけでは認識は成立しない。しかしヘーゲルになると、いっさいの真なる思想は精神の活動である思考を通じてのみ産出されることになる。なおデューイは、こうした思弁としての思考の絶対化を退け、人間の思考は生物体としての人間が環境に適応していくための道具であり、したがってそれは経験の場においてのみ有効であるとした。[宇都宮芳明]

心理学における思考

ドイツのウォルフおよび彼の心理学説を継承する18世紀の心理学は、能力心理学といわれ、精神現象をさまざまな能力に分析記述する。思考力・推理力・判断力・記憶力などがそれである。思考活動は各人の思考能力に由来する。しかし、この思考を能力とする考えは、続いて誕生した連想心理学によって否定され、学説史のなかへ消えていく。連想心理学とは、一般に精神を、観念その他、精神的要素の連合によって説明する心理学説をいう。しかし、この連想心理学説も、実験心理学の成果が明らかになるにつれて、その学説の弱点をあらわにする。
 思考心理学については、1900年ごろから10年代にかけて展開された、ドイツのウュルツブルク大学のキュルペ教授一門の研究が有名である。たとえば、マルベKarl Marbe(1869―1953)は判断についての実験を行った。判断は観念の連合で成立するものでなく、関係についての有意性または志向的性格が伴っており、それに言語表象・心像・動きの感じ・態度など、さまざまな複雑な心的状態が加わって可能となるという。また、イギリス人で当時キュルペ教授の指導を受けていたワットHenry Jackson Watt(1879―1925)は、思考のプロセスに関心をもち、人々が一定の課題条件のもとでどんな連想を打ち出すかを研究した。課題意識が判断の中心であり、判断の問題はこれによって解決できるという結論を導いた。
 ワットのあとに出てくるのがメッサーAugust Wilhelm Messer(1867―1937)で、彼は、ワットの「課題」では思考の問題は解明されないと考えた。一定の課題を付したいわゆる制限反応と、判断そのものとは異っており、前者と違って後者は承認されたり、また否認されたりする関係であるという。そして、ビューラーの研究がウュルツブルク学派の最後の、しかも最高のものと評価されている。彼は思考要素に3種類あると考えた。心像、知的感情および態度、そして思想がそれであって、このうち思想がもっともたいせつで、これこそが思考プロセスの本質であると論じた。
 これらウュルツブルク学派の研究成果は、フランスのビネーの、マルベをしのぐ業績とともに、連想心理学説に一大打撃を与えた。すなわち、ウュルツブルク学派やビネーの思考実験は、観念の連合を支配するものが存在することを明らかにしたので、思考の本質を観念にみいだし、精神作用は観念の結合によって機能することを主張する連想心理学は、その理論的根拠を失うはめに陥った。
 ウュルツブルク学派以降、二つの心理学説が思考の解明に大きく貢献してきた。一つは、ゲシュタルト心理学の思考理論であり、他の一つは、ピアジェおよびその影響下にある認知理論である。前者は精神現象を、寄木細工的にみたり、連想主義的に理解したりすることを否定する。また、それは一定の刺激があるときには、かならず一定の感覚があるとする恒常仮定を排除し、さらに要素に作用して精神をまとめあげるある特定概念(統覚・注意作用)をも不要にした。その思考理論の中心概念は、構造転換にある。構造転換という現象は、知覚体制、とくに視覚体制において発揮される。思考には知覚的要素のあるものがあり、思考過程は洞察的に進行する。ゲシュタルト心理学は論理学から思考心理学を解放し、思考は知覚体制に基礎を置いた法則に支配されるものであることを主張する。
 もう一方のピアジェおよびその影響下にある認知理論は、論理や判断が一定の先験的な規則に従って、人間に強制される事情の解明を実験のねらいとする。そこにおいては、ウュルツブルク学派の諸々の研究業績やゲシュタルト心理学の構造転換、行動心理学の試行錯誤といった先行心理学説の中心概念が、それぞれ思考のある発展段階として位置づけられている。そして、思考の最高段階は可逆性とか同一性といった論理のカテゴリーに基づいた心的操作であり、それは保存という心的作業によって保証されるとした。[大谷光長・宮寺晃夫]

パターン認識について

パターン認識というのは、個物のパターンを言い当てることを意味し、それを機械、すなわちコンピュータまたはそれに類似の装置にやらせる。
 パターン認識は人間の認識の根本的原型ともいうべきものであって、人間の感覚も、知覚も、また知識も、パターン認識でないものはないということを前提とする。今日のパターン認識の理論には2種類あって、第一のものは類の創造であり、第二のものは既成の分類を機械に教えることである。パターン認識にはまだまだ未開拓の問題が多い。パターン認識がいかにして可能であるかを考えることは、人間の認識作用の考察を進めるうえできわめて重要である。[大谷光長・宮寺晃夫]

思考の発達と教育

思考の発達についての理論としては、とくに形式陶冶(とうや)論と、問題解決学習論と、創造性の教育論とが考えられる。まず、形式陶冶論は精神の形式的能力、たとえば思考力・記憶力・推理力・意志の力などを陶冶することに教育的価値を置く考え方であり、明らかに能力心理学ないしは学習の転移説に理論的根拠を置く理論である。次に、問題解決学習論は、デューイによれば、思考の発動をなんらかの困惑・混迷・疑問のなかにみいだす。人は難事に出会う、そしてそれを解決し、それを乗り越えようとする。このときに作用するのが「反省的思考」である。反省的思考は、当初の当惑し、紛糾し、あるいは混乱した状態から、最後の清澄な、統一された、解決せる状態に至る中間過程で働く思考であって、その思考状態は次の5段階から成り立っている。
(1)可能な解決を暗示で予測する。
(2)経験した困難・困惑を、解決すべき問題へと知性化する。
(3)仮説をたて、必要な観察、資料の収集を開始する。
(4)推理によって観念や想念を吟味・検討する。
(5)仮説を明白な活動によって検証し、できれば未来への展望へと進む。
 最後に、創造性の教育論について触れるが、これはゲシュタルト心理学、ピアジェおよびその影響下にある認知心理学などの諸成果に基づいて、人間の生産性・創造性の発達のため、直観的思考と分析的思考の重要性を説くものである。直観的思考は、分析・立証の手順を踏まないで、問題や事態の意味・重要性を把握したり、またすばやく仮説を生み出したり、諸観念の新しい結合を思い付く働きをする。これに対し、分析的思考は、一歩一歩段階を追って進む。それは、各段階ごとのなかに含まれている情報や操作を十分に意識して進行する。そして、重要なことは、一度直観的思考で得られたその解決は、分析的思考によってよく照合される必要があるということである。それと同時に、その解決は照合に際して、価値ある仮説として十分尊重されねばならない。創造作用は諸情報の役にたつ組合せ、本当にわずかしかない組合せをつくることであり、それは直観的思考と分析的思考との相互補足によって、ますますその可能性を高めることができる。[大谷光長・宮寺晃夫]
『今田恵著『現代の心理学』(第15刷・1971・岩波全書) ▽藤永保編『思考心理学』(1976・大日本図書) ▽渡辺慧著『認識とパタン』(岩波新書) ▽J・デューイ著、植田清次訳『思考の方法』(1950・春秋社) ▽J・S・ブルーナー著、鈴木祥蔵・佐藤三郎訳『教育の過程』(1986・岩波書店) ▽守一雄著『認知心理学』(1995・岩波書店)』

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世界大百科事典内の思考の言及

【思想】より

…一般に,哲学や文学,芸術,あるいは政治や社会認識,宗教や科学など,さまざまな分野の知識体系と,その根底にある総合的な観念体系を指していう。この根底的観念体系は,行為したり,話したり,書いたりする人間の表現活動のすべて,すなわちまた,知的な思考活動だけでなく想像力や感情をも含む人間の心の働きの表出のすべてであるが,単なる断片(想念)ではなく,人間が生きる世界と,そこでの人間の生き方に関する,なんらかの程度で組織立った(体系的な)理解の仕方である。このような世界と人生についての理解のうち,もっとも組織立った,したがってもっとも論理化された原理的理解は,古来哲学であると考えられたから,しばしば思想の代表的な事例は哲学だと考えられる。…

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