ポデスタ(その他表記)podestà

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポデスタ」の意味・わかりやすい解説

ポデスタ
podestà

中世イタリアのコムーネにおける執政長官。ラテン語の potestas(「力」の意)から発する。神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世によりロンバルディア地方のコムーネの勢力を阻止する目的で定められた制度が発端。しかしコムーネの勢力が伸長するにつれ,コムーネの支配階級内部に抗争が起こり,12世紀中頃より最高の行政的地位の必要性からポデスタの制度は急速に広まった。党派抗争に巻き込まれない配慮からポデスタになりうるのはほかのコムーネ出身者にかぎられ,任期は半年から 1年とされたが,ときには専制者となる例も生じた。13世紀以降この地位の重要性はしだいに減少していった。また 20世紀にはファシズム体制下に中央政府から任命された市町村長がポデスタと呼ばれた。

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世界大百科事典(旧版)内のポデスタの言及

【コムーネ】より

…12世紀から13世紀にかけて都市経済の発展とコンタードからの旧領主層の移住によって旧来の都市貴族支配(コンソリ制)は動揺した。このようなコムーネの危機を克服するために採用されたのがポデスタ制である。これはコムーネの政治を他都市出身のしかるべき者(騎士身分で法学を学んだ者が多い)に委任するものである。…

【シニョリーア制】より

…シニョーレとして権力を掌握した者の出自はさまざまであった。都市の司政官(ポデスタ,カピターノ・デル・ポポロなどと呼ばれ,都市法に立脚した統治を委任されるもの。任期は半年から2年程度)が全権を掌握し,職務を終身のものとしてしまう場合,強力な軍事力をもつ領主層が軍事指揮官としてコムーネに招聘され,さらに政権を得る場合などがあった。…

※「ポデスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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