勢力(読み)せいりき

精選版 日本国語大辞典 「勢力」の意味・読み・例文・類語

せい‐りき【勢力】

(「りき」は「力」の呉音)
[1] 〘名〙 =せいりょく(勢力)
※勝鬘経義疏(611)十大受章「力有二種。一勢力。二道力。〈略〉重悪即以勢力折伏、軽悪即以道力摂受」
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「今の為朝は勢力(セイリキ)すくやかにして」
日葡辞書(1603‐04)「xeiriqiga(セイリキガ) ツクル」
[2] 歌舞伎脚本「群清滝贔屓勢力(むれきよたきひいきのせいりき)」の通称

せい‐りょく【勢力】

〘名〙
① いきおいと力。他を支配するいきおいと力。威勢。威力。せいりき。
史記抄(1477)一二「なにさま予譲が勢力を入て撃たほどに」
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「憐れとか気の毒とかの念慮よりも、物騒の方が自然勢力(セイリョク)を得た次第である」 〔漢書芸文志
② 「エネルギー」の旧称。〔哲学字彙(1881)〕
※福音道志流部(1885)〈植村正久〉二「宇宙の間には如何なる勢力の行はるるにや」

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デジタル大辞泉 「勢力」の意味・読み・例文・類語

せい‐りょく【勢力】

他をおさえ、支配下におくいきおいと力。特に、国家や政党などの社会的な集団がもつ、他の集団をおさえる力。「勢力を伸ばす」「勢力が衰える」
エネルギーの旧称。
[類語]威力権勢権力実権威勢勢い猛威暴威景気第三勢力

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改訂新版 世界大百科事典 「勢力」の意味・わかりやすい解説

勢力 (せいりょく)
power

個人および集団(社会をも含む)が自己の意思にかなう思考や行動のあり方を,他の個人や集団に実現させうる能力のこと。M.ウェーバーの古典的な定義では,この能力が〈Chance〉と表現されている。他者を自分の意思どおりに動かすためには,自己の能力を他者に承認させうるような相互関係,それも自己と他者との互恵・互酬的なものとは限らないような相互関係が成り立っていなければならない。そしてこの関係にもとづき,またはこの関係を形成する過程で,自己の意思にかなう思考や行動のあり方を他者に承認させる。さらに場合によっては,他者に対し報酬の停止や威嚇や非難や嘲笑など種々の制裁を加えるかもしれないという社会的・心理的圧力を行使することもある。このように他者の服従を(自発的あるいは非自発的に)獲得しうる根拠(外的な規則や強制力,内的な承認など)の相違に応じて勢力は,権限,権力権威威信などの下位形態に分かれる。
支配
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普及版 字通 「勢力」の読み・字形・画数・意味

【勢力】せいりよく

威力と権勢。〔漢書、芸文志〕春秋の貶損(へんそん)するの大人は、當世の君臣にして、威勢力り。其の事實、皆傳に形(あら)はる。是(ここ)を以て其の書を隱して宣(の)べず。時れし以(ゆゑん)なり。

字通「勢」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「勢力」の意味・わかりやすい解説

勢力
せいりょく
power

他者(個人または集団)を自分の意志どおりに行動させることができる能力。

[編集部]

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「勢力」の解説

せいりき【勢力】

山口の日本酒。前身は海運業者で、酒名はそのときの持ち船の名。純米大吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒がある。蔵元の「中村酒場」は大正9年(1920)創業。所在地は周南市福川。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「勢力」の解説

勢力
(通称)
せいりき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
夜講釈勢力譚話 など
初演
明治8.11(東京・新富座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の勢力の言及

【階層】より

…社会的資源はだれによっても望まれるものだから,その需要は大きくて供給は相対的に稀少であり,したがってその分配をめぐって競争や闘争の社会関係を生じ,そして結果としての分配は不平等となる。とりわけ勢力と威信のような関係財は,不平等分配であることにその固有の性質があることが注意されねばならない。
[階層的地位の諸指標]
 社会的諸資源の分配の量が,すなわち階層的地位の指標である。…

※「勢力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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