化学辞典 第2版 「ポリハロゲン化物」の解説
ポリハロゲン化物
ポリハロゲンカブツ
polyhalide
アルカリ金属,アンモニウム,アルカリ土類金属などのハロゲン化物に,さらにハロゲン原子が付加した組成の化合物をいう.ハロゲン化物とハロゲンの直接または水溶液中での反応や,ポリハロゲン化水素水溶液と金属塩の反応などで得られる.一般に一価の大きい陽イオン(Cs+,Rb+)の塩が安定で,Li+ 塩は不安定である.構造は次の3種類がある.
(1)3個のハロゲン原子が直線形に並んだもの.X3-,Y-X-Y-,Y-X-Z-などが多い(X,Y,Zはハロゲン原子).たとえば,MI3,MBr3,MBrCl2,MICl2,MIBrFなど.MI3ではI-I約2.82,3.10 Å.
(2)さらに多数のハロゲン原子がつながったもの.たとえば,[N(CH3)4]I5では,一列につながった5個のI原子は,中央のIで折れ曲がったV字形である.I-I約3.14,2.93 Å.∠I-I-I約94°(中央).また,Cs2I8では,一列につながった8個のI原子は,3個目と6個目で約80°折れ曲がりN字形である.I-I約2.83~3.00 Å.
(3)ハロゲン原子が平面正方形型に並んだもの.M[ICl4]の [ICl4]- では,I- を中心としてClが平面正方形に並んでいる.K[BrF4]ではBr-F約1.89 Å.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報