改訂新版 世界大百科事典 「マネス」の意味・わかりやすい解説 マネスManes 古代ローマの宗教で,神格化された死者の霊。その名は古いラテン語の形容詞manus(〈善良な〉の意)から来ており,ディ・マネスDi Manes(〈善良な神々〉)とも呼ばれた。マネスの本義は,たんなる亡霊とは異なり,総体として一種の神性をもつと考えられた死者たちの霊であるが,のちには家族の祖先の霊Di Parentes,さらには個人の霊をも指すようになり,Dis Manibus(〈死者の霊に〉の意)を略したD.M.の文字が墓に刻まれた。また詩の中では,地下の神々あるいは冥界そのものの称としても用いられている。執筆者:水谷 智洋 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by