改訂新版 世界大百科事典 「マルー」の意味・わかりやすい解説
マルー
Jules Malou
生没年:1810-86
ベルギーの政治家。1841年以後ローマ・カトリック教会派の国会議員となり,アントウェルペン州知事(1844-45),大蔵大臣(1845-47),ソシエテ・ジェネラル総裁(1848-71)を歴任。46年結成され,翌年政権を獲得した自由党の反教権的・自由主義的傾向に危機感を強めたマルーらは,50年代から分裂しているカトリック勢力の統一と組織化に努力した。70年カトリック派のダネタン内閣の無任所大臣となり,さらにド・テウとともにカトリック内閣を組織し(1871-78),大蔵大臣として鉄道敷設などに尽くした。79年自由党政府が世俗化推進策として公布した初等教育法(フムベーク法)に対するカトリック側の激しい攻撃を指導し,84年内閣を組織してフムベーク法を改正したが,数ヵ月の短命内閣に終わった。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報