日本大百科全書(ニッポニカ) 「モチェ文化」の意味・わかりやすい解説
モチェ文化
もちぇぶんか
Moche
ペルーの北海岸に栄えた古代文化(前100ころ~後650ころ)。モティーカ文化ともいう。現在のトルヒーヨ市のワカ・デル・ソル(太陽のピラミッド)とワカ・デ・ラ・ルナ(月のピラミッド)、ネペーニャ谷のパニャマルカ、チクラーヨ市の東のパンパ・グランデなどが代表的な遺跡。ワカ・デル・ソルは、228×138×18メートル、ワカ・デ・ラ・ルナは80×60×21メートルで、いずれも日干しれんがを積み上げてつくった基壇とその上の建物である。パンパ・グランデは6平方キロメートルの広がりがあり、ピラミッドは300×185×55メートルの規模をもつ。モチェ文化は、大規模な灌漑(かんがい)施設をつくって北海岸の河谷平野を開発し、階層社会、分業による工芸の発達を促進した。写実的な形象土器、絵物語のような絵を描いた土器、優雅な形の鐙(あぶみ)形壺(つぼ)などはモチェ文化独得のものである。また、銅製品の製作も盛んであった。
[大貫良夫]