ヤワラガニ(読み)やわらがに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤワラガニ」の意味・わかりやすい解説

ヤワラガニ
やわらがに / 柔蟹
[学] Halicarcinus messor

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目ヤワラガニ科に属する小形のカニ。日本特産で、青森県から九州まで各地の岩礁で、褐藻石灰藻についている。甲長・甲幅とも5ミリメートルほど。甲は石灰化が不十分で、あまり硬くない。甲面は平らで、甲域は不明瞭(ふめいりょう)。額(がく)は3歯からなるが、中央歯はへら状で、斜め上方を向く。近縁種のトウヨウヤワラガニH. orientalisも磯(いそ)にみられるが、短毛で密に覆われている。歩脚の細長いアシボソヤワラガニH. setirostrisは、水深30~50メートルにすむ。ヤワラガニ科は潮間帯や汽水域にすむ種が多く、分布の中心はニュージーランドとオーストラリア南東部である。日本産は8種で、最大種は甲幅2センチほどのソバガラガニTrigonoplax unguiformisである。

[武田正倫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android