日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユダの窓」の意味・わかりやすい解説
ユダの窓
ゆだのまど
The Judas Window
アメリカの本格推理作家ディクスン・カー(当作品はカーター・ディクスン名)の代表作。1938年作。彼の得意とする不可能犯罪の一つ、密室を取り扱っている。婚約者の父を訪れたアンズウェルは、対談中に気を失い、気がついたときには、矢で射られた父と密室の中にいた。当然、彼以外に犯人はいないという状況である。しかし彼はまったく身に覚えがない。捜査に乗り出したメリベル卿(きょう)は、この部屋には皆の盲点になっているユダの窓があり、謎(なぞ)を解く鍵(かぎ)はそこにあるのだという。密室トリックに正面から挑んだ本格推理である。
[梶 龍雄]
『砧一郎訳『ユダの窓』(ハヤカワ文庫)』