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捜査 そうさErmittlungsverfahren; criminal investigation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

捜査
そうさ
Ermittlungsverfahren; criminal investigation

犯罪に対し,捜査機関犯人を発見,確保し,かつ証拠を収集,保全する目的で行う一連の行為をいう。起訴前に行われるのが原則であるが,起訴後も可能である。現行刑事訴訟法上は,警察のほか,検察官も独自に捜査する権限をもつが,通常は警察官が捜査の実行にあたり,検察官は,これを受けて訴追活動を行う。検察官は捜査に関し,警察に対し一般的な指揮権を有するが,両者の関係は上下の指揮命令関係ではなく,基本的には協力関係である。捜査は逮捕,捜索などの強力な権限行使を含み,関係者の人権に強い影響を与えるものであることから,法律により厳格に規制される。捜査はまた,社会の進展に対応し,法医学,心理学,物理学,化学,工学,精神医学などの助けを借りて科学的捜査の性格を強めてきている。

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デジタル大辞泉の解説

そう‐さ〔サウ‐〕【捜査】

[名](スル)捜して調べること。特に、捜査機関が犯人を発見・確保し、証拠を収集すること。また、その活動。「殺人事件を捜査する」「容疑者が捜査線上に浮かぶ」「科学捜査」「強制捜査

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百科事典マイペディアの解説

捜査【そうさ】

刑事事件について公訴提起し,これを維持するために犯人および証拠を発見・収集する手続(刑事訴訟法189条以下)。捜査機関としては司法警察職員検察官がある。捜査は強制力を伴わない任意捜査を原則とし,強制捜査は,人権の保障上,法が特に認めた場合で,その要件がみたされたときに限って許される。
→関連項目検証告訴告発接見交通権

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デジタル大辞泉プラスの解説

捜査

ポーランドの作家スタニスワフ・レムの長編SF(1959)。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうさ【捜査】

犯罪が行われた場合,国家は,犯人を発見し,刑罰を科すことになる。その手続の流れを図式的に示すと,捜査→公訴の提起(起訴)→公判手続→裁判→上訴となる。この流れにしたがって捜査を定義すると,捜査とは,捜査機関が犯罪が発生したと考える場合に,公訴の提起・追行の準備のため,犯人を発見・保全し,証拠を収集・確保する行為ということになる。 これは通説的な捜査の定義であるが,この定義に対して,二つの立場から異議が出されている。

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大辞林 第三版の解説

そうさ【捜査】

( 名 ) スル
捜し調べること。
〘法〙 公訴のため、捜査機関が犯人を捜索・保全し、証拠を収集・保全する活動。 「犯人の足どりを追って-する」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

捜査
そうさ

犯罪があると考えた場合に、犯罪の証拠を保全し、被疑者の身柄を保全することをいう。捜査の目的は、犯罪の嫌疑の有無を解明して、公訴を提起するか否かの決定をなし、公訴が提起される場合に備えてその準備をなすことにある。多くの自白事件については不起訴処分を念頭においた捜査活動が展開され、また重大事件や否認事件では当初から公判を前提とした捜査活動が展開される。
 捜査は、捜査機関による犯罪探索活動であり、国民の人権に深くかかわるものであるから、国民の人権を保障しながら真相を究明する捜査構造が問題となる。この点について、糾問的捜査観は、捜査は捜査機関が被疑者を取り調べるための手続であって、強制が認められるのもそのためであるとし、弾劾的捜査観は、捜査は捜査機関が行う公判の準備活動であり、被疑者もこれとは独立に準備を行うとする。実務では糾問的捜査観に沿った捜査実務が行われている。しかし、被疑者には黙秘権が保障されており、また弁護人依頼権も保障されている。したがって、捜査が捜査機関の捜査活動を中心に展開されるとしても、これらの被疑者の権利との調和を図ることが肝要である。[田口守一]

捜査の原則

捜査機関は、捜査の目的を達するため必要な処分を行うことができるが、強制処分は法律に特別の定めがある場合でなければ行うことはできない(刑事訴訟法197条1項。強制処分法定主義)。ここに強制処分とは、個人の重要な利益を侵害する処分をいう。強制処分を伴う捜査を強制捜査といい、強制処分によらない捜査を任意捜査とよぶ。捜査においては任意捜査が原則であり、強制捜査は例外である。また、憲法は、何人(なんぴと)も、原則として、裁判官の令状がなければ逮捕されることはなく、また、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることはない旨を保障している(33条、35条)。これを令状主義とよぶ。[田口守一]

捜査の種類

捜査は、任意捜査と強制捜査に区別される。強制捜査としては、逮捕・勾留(こうりゅう)や身体検査などの対人的処分と捜索、差押えなどの対物的処分がある。任意捜査には、取調べや鑑定など法律規定のあるもののほか、聞込みや尾行など多様な捜査方法がある。特殊な任意捜査の例としては、薬物事犯や組織犯罪など、捜査が困難な事件の捜査方法である、いわゆるおとり捜査がある。おとり捜査とは、捜査機関またはその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働きかけ、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙する捜査手法をいう。また、コントロールド・デリバリー(いわゆる泳がせ捜査)とは、取締り当局が、禁制品であることを知りながらその場で押収せず、捜査機関の監視の下にその流通を許容し、追跡して、その不正取引に関与する人物を特定する捜査手法である。また、犯罪の国際化に伴って、外国における証拠収集や犯人保全などの国際捜査も重要な課題となっている。[田口守一]

捜査機関

犯罪の捜査は、司法警察職員と検察官が行う(刑事訴訟法189条2項、191条1項)。司法警察職員には、一般司法警察職員と特別司法警察職員とがある。一般司法警察職員は、司法警察員と司法巡査に区別される。司法警察員には、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補および巡査部長の区別がある。特別司法警察職員には、海上保安官、労働基準監督官、麻薬取締官、郵政監察官、刑事施設職員、船長等があり、それぞれ法律に根拠規定がある。検察官も、必要と認めるときは犯罪の捜査を行う。検察事務官は、検察官の指揮を受けて犯罪の捜査を行う。このように、司法警察職員と検察官は、ともに捜査機関であるが、検察官は司法警察職員に対して指示あるいは指揮の権限を有している(同法193条参照)。[田口守一]

捜査の端緒

捜査を開始するためには、捜査機関が、犯罪があると思料する(考える)ことが必要である(同法189条2項)。そこで、捜査機関が犯罪があると思料するに至った理由を捜査の端緒という。捜査の端緒は、捜査機関が自ら犯罪を感知する場合として、職務質問、自動車検問あるいは検視等があり、捜査機関以外の者が捜査機関に届け出る場合として、被害届、告訴、告発あるいは自首等がある。実際に犯罪が認知されるのは、犯罪の被害者や目撃者等の第三者の届出による場合が圧倒的に多い。[田口守一]

被疑者の身柄保全

被疑者の身柄保全として逮捕と勾留がある。
 逮捕には、(1)被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合に、裁判官から逮捕状を得て行われる「通常逮捕」、(2)現に罪を行いまた行い終わった者(現行犯人)を、何人でも逮捕状なくして逮捕することができる「現行犯逮捕」、(3)死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕できるとする「緊急逮捕」の区別がある。
 逮捕に引き続く身柄拘束である勾留の要件は、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ、住所不定、逃亡のおそれまたは罪証隠滅のおそれのうちのいずれか一つの理由があることである。勾留の請求は、逮捕した被疑者につき、検察官がこれを行う。このように、逮捕を経なければ勾留をすることができないとする考え方を、逮捕前置主義という。その趣旨は、逮捕に際して裁判官による司法的抑制をなし、また勾留についても再度の司法的抑制をなすという二重のチェックをなすことで被疑者の人権を保障しようとするところにある。勾留は、裁判官が、被疑者に被疑事実を告げ、これに関する陳述を聴いたうえで、勾留状を発してなされる。[田口守一]

証拠の保全

物的証拠の収集保全にも任意処分と強制処分があり、任意処分としては、たとえば実況見分などがあり、強制処分としては、捜索、差押え、検証、鑑定などがある。捜索・差押えは、原則として、裁判官の発する捜索差押許可状に基づいて行われる(刑事訴訟法218条1項)。例外として、捜査機関は、被疑者を逮捕する場合において、必要があるときは、令状なくして、人の住居等に入って被疑者を捜索し、逮捕の現場で差押え、捜索または検証を行うことができる(同法220条)。犯罪の組織化あるいは密行化に伴って、新たな科学的捜査も行われるようになった。捜査手段としての人物の写真撮影・ビデオ撮影は、個人のプライバシーを侵害する捜査方法であるが、公道での写真撮影等は住居内のそれに比べて保護の期待権が減少しているとして、任意処分と解されている。覚せい剤事犯に関する尿の強制採取については、以前は、鑑定処分許可状と身体検査令状を併用して行っていたが、判例は、医師をして医学的に相当と認められる方法により行うとする条件を付した捜索差押許可状(いわゆる強制採尿令状)によって実施しうるとしている。通信傍受については、以前は、検証令状により実施されていたが、1999年(平成11)の刑事訴訟法改正により、通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分は、別に法律で定めるところによるとの規定が設けられた(同法222条の2)。法律として、通信傍受法(平成11年法律第137号。正式名称は「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」)が制定され、特定の犯罪類型に関する通信傍受が、裁判官の傍受令状に基づいて実施されることになった。
 犯罪事実の解明のためには供述証拠も必要である。供述証拠には、被疑者の供述と被疑者以外の者(被害者、目撃者など)の供述とがある。被疑者の供述は、被疑者の取調べにより(刑事訴訟法198条1項)、被疑者以外の者の供述は、いわゆる参考人取調べの場合(同法223条1項)と証人尋問による場合(同法226条~228条)とがある。身柄を拘束された被疑者の取調べにより被疑者が自白した場合、その自白の任意性をめぐって公判で争いが生ずることも多い。以前は、自白の任意性をめぐって多数の証人を取り調べたり、詳細な被告人質問を行ったりしてきたが、とりわけ裁判員裁判ではそのような審理を行うことは困難である。このようなことから取調べの録音・録画の必要性が指摘され、検察では2006年から、警察でも2008年から取調べの部分的な録音・録画が実施されることとなった。[田口守一]

捜査の終結

警察の捜査は、軽微な事件についてはいわゆる微罪処分によって終結する(同法246条但書)。微罪処分とは、司法警察員が検察官の一般的指示(同法193条1項)により、一定の微罪について検察官に送致することなく、これらの事件を毎月1回一括して検察官に報告すれば足りるとする制度である。それ以外の事件については、司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類および証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならないとされている(同法246条)。いわゆる検察官送致(送検)であり、これによって警察捜査は終結する。検察捜査には、送致事件の捜査と検察官認知・直受事件の捜査がある。検察官認知・直受事件(大規模経済犯罪など)については当然独自捜査がなされる。送致事件については、検察官の立場すなわち公判維持の観点から、補充捜査がなされることになる。[田口守一]

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