正面(読み)しょうめん

精選版 日本国語大辞典 「正面」の意味・読み・例文・類語

しょう‐めん シャウ‥【正面】

〘名〙
① 正しく前に向いていること。また、その方向。真向き。〔温故知新書(1484)〕
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉七「女の方はちっとも見返らないで〈略〉正面ばかり眺めて居る」 〔隷釈〕
裏面・側面に対しての前面。建造物などの表の側。見る場合や出入りする場合の正式の方面。
古事談(1212‐15頃)三「自大仏殿正面東は金鐘行者之所領也」
※歌舞伎・傾情吾嬬鑑(1788)序幕「正面(シャウメン)の襖(ふすま)を引明けると」
物事にまともに対すること。また、遠回しにしないで直接対すること。まとも。
※女難(1903)〈国木田独歩〉三「思ひ切って正面(シャウメン)から問ひかけた」
能舞台で、三間四方の本舞台の前面。本舞台に向きあう観客席の前の方向。また、その場所。
※申楽談儀(1430)「おきなは舞はてて、めんぬぎ、つましゃく取、しゃうめんへ礼して入也」
相撲で、土俵場の北面をいう。⇔裏正面
※俳諧・享和句帳‐三年(1803)八月一〇日「正面は親の㒵也まけ角力」
近世、品川の遊女屋の張見世(はりみせ)をいった。
洒落本・面美知之娌(1789‐1802頃)「猟舟の篝は正面(セウメン)唐紙に似て七星九星の形をあらはし」

ま‐と‐も【正面】

〘名〙 (形動) (真(ま)つ面(も)の意)
① 正しく向かっていること。しょうめん。
※俳諧・享和句帖‐三年(1803)一一月一一日「不二颪真ともにかかる頭巾哉」
② まっすぐなこと。正道にあること。まじめなこと。ちゃんとしていること。また、そのさま。〔大坂繁花風土記(1814)〕
※自由学校(1950)〈獅子文六〉その道に入る「マトモな服装の者は、一人もなかった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「正面」の意味・読み・例文・類語

ま‐と‐も【正面/面】

[名・形動]《「」の意》
まっすぐに向かい合うこと。正しく向かい合うこと。また、そのさま。真正面。「―に風を受ける」「―に相手の顔を見る」
策略や駆け引きをしないこと。また、そのさま。「―に戦ってはとても勝てない」
まじめなこと。正当であること。また、そのさま。「―な人間になりたい」「これは―な金だ」
[派生]まともさ[名]
[類語](1正面真ん前前方向かい真向かい真向き真っこう真正面/(3まっとうまじめ正当至当正しい適切適正公正中正合理合理的論理的理路整然ロジカル理詰め方正真正純正フェアことわり事理条理論理理屈筋道辻褄つじつま理路道筋ロジック正道本筋正則合法合法的ノーマル本格的正式本式正格正統正調正規公式格調格式品格品位風格おおやけ公的本物儀礼礼法礼式礼儀風儀作法よそ行き格式張る折り目正しいフォーマル本格本道本流主流押しも押されもせぬれっきとちゃんと道理道理至極腰を入れる本腰本腰を入れるレギュラーオーソドックスプロパー

しょう‐めん〔シヤウ‐〕【正面】

物の前の面。建築物などの表の側。おもて。「正面から出入りする」「正面玄関」
正しく向き合っている方向。まっすぐ前。「正面を向く」「正面に見える建物
物事にまともに対すること。避けたりしないで、直接立ち向かうこと。「問題に正面から取り組む」
相撲で、土俵の北側の席。→向こう正面
能舞台で、中央から前の目付めつけ柱と脇柱との間の所、およびその外縁の観客席。しょう。→能舞台中正面脇正面
[類語](1おもて表側前面表面外面ファサード/(2真ん前前方向かい真向かい真向き真っこうまとも真正面まのあたり面前目の前眼前現前鼻先目先目前鼻面はなづら鼻っつら前面手前先方直前目と鼻の先手近い程近い近い間近い間近じきすぐ至近近く手が届く指呼しこ咫尺しせき目睫もくしょう目睫もくしょうかん身近手近卑近身辺そば傍ら手元付近近辺近傍近所最寄りもと足元座右左右手回り身の回り

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普及版 字通 「正面」の読み・字形・画数・意味

【正面】しようめん

ま向かい。

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