ラネーニッケル触媒(読み)ラネーニッケルショクバイ

化学辞典 第2版 「ラネーニッケル触媒」の解説

ラネーニッケル触媒
ラネーニッケルショクバイ
Raney nickel catalyst

ニッケル-アルミニウム合金を水酸化アルカリで処理(展開)し,アルミニウムを溶出させて得られるニッケル触媒.一般に,水素化反応用に用いられる.触媒能は合金組成に依存し,Ni 30~50重量% がよいとされる.Ni 50重量% 以上ではNiAlの安定な金属化合物が多くなり,水酸化アルカリと反応しにくく,したがって活性はNiが多いほど低くなる.Ni 40~50重量% の合金が市販されている.これを展開するときの温度,その他の操作条件,展開後の水洗条件などによって,得られる触媒の活性はかわる.展開は約50 ℃ で行うことが多いが,より高温にするほどニッケル中の保有水素が減り,安定になる.H. AdkinsらによるW-1からW-7までの調製法,そのほかが知られている.W-6は50 ℃ で展開し,水素気中で水洗するもので,きわめて高活性な触媒が得られるが,加熱によって100 mL/g Ni近い水素を発生することがあり,取り扱いに注意を要する.このような保有水素には,化学吸着水素20~40 mL/g Niのほかに,残存Alと水の反応で発生する水素も含まれている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラネーニッケル触媒の言及

【触媒】より

… 触媒が化学工業プロセスの中枢となる例はつぎつぎに現れた。メチルアルコール合成法と同じく水素と一酸化炭素を原料としながら,液体燃料製造を主眼とするフィッシャー=トロプシュ反応のコバルトまたは鉄触媒,硫酸製造触媒としての白金を代替し,無水フタル酸や無水マレイン酸を得る選択酸化触媒としての五酸化バナジウム,ニッケルとアルミニウムの合金を水酸化ナトリウムで処理し,アルミニウムを溶出させて微粉末のニッケルを得,温和な条件で医薬原料や食品などの製造に使われるラネー・ニッケル触媒,オレフィンから液体重合体を得る固体リン酸触媒,オレフィン,一酸化炭素,水素から高級アルコールなどをつくるオキソ法コバルト触媒などがその例である。
[石油精製・石油化学と触媒]
 第2次大戦後は石油を主軸に大展開があった。…

※「ラネーニッケル触媒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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