日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルーメン原生動物」の意味・わかりやすい解説
ルーメン原生動物
るーめんげんせいどうぶつ
rumen protozoa
ウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻(はんすう)動物のルーメン(第1胃)内に種々の細菌とともに生息する原虫類で、新分類体系に従えば、肉質鞭毛虫(べんもうちゅう)門鞭毛虫亜門動物性鞭毛虫綱に属するモノセルコモナス属Monocercomonas、テトラトリコモナス属Tetratrichomonasや、繊毛虫門キネトフラグミノフォーラ綱に属するブッチリアBuetschlia、イソトリカIsotricha、ディプロディニウムDiplodinium、エントディニウムEntodiniumなどの諸属が含まれる。これらの原虫類は、第1胃内での物質代謝や細菌相に影響を与えていると思われるが、宿主動物との関係については不明の点が多い。第1胃内に摂取された餌(えさ)は、まず共生細菌により分解、発酵され、胃壁から吸収されて宿主体のエネルギー源となる一方、原虫類もその恩恵を受けて増殖し、結果的に原虫類は宿主に対するタンパク源になっているのではないかとの考えもある。
[小山 力]