反芻(読み)はんすう

精選版 日本国語大辞典 「反芻」の意味・読み・例文・類語

はん‐すう【反芻】

〘名〙
一度のみこんだ食物を、しばらくたってからふたたび口腔にもどしてかみ、再びのみこむこと。植物性食物を常食とする哺乳類うち、胃が複雑に区分された反芻胃をもつ反芻類ウシ・シカなど)でみられる。
途上(1932)〈嘉村礒多〉「嚥み込んだ食べものを口に出して反芻する見苦しい男の癖に」
② 繰り返して、よく味わったり、考えたりすること。
遣唐船(1936)〈高木卓〉五「盛唐栄華を楽しく反芻(ハンスウ)しつつ」

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デジタル大辞泉 「反芻」の意味・読み・例文・類語

はん‐すう【反×芻】

[名](スル)
一度飲み下した食物を口の中に戻し、かみなおして再び飲み込むこと。
繰り返し考え、よく味わうこと。「先生言葉反芻する」
[類語]噛む噛み砕く咀嚼噛み付く食い付く食らい付く噛み締める噛み切る食い切る食いちぎる噛みこなす

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百科事典マイペディア 「反芻」の意味・わかりやすい解説

反芻【はんすう】

一度胃内に飲みこんだ食物を再度口に吐き戻して咀嚼(そしゃく)の後,改めて嚥下(えんげ)・消化する摂食様式。ウシ,ヒツジ,シカ,キリン,マメジカ(反芻類)などが行う。本来の胃(葉胃およびしわ胃)の前に前胃(こぶ胃および網胃)が分化して,4室性の反芻胃を形づくる(マメジカ類では3室)。前胃の2室内に共生するセルロース分解性の微生物(繊毛虫細菌)が行う予備消化の後,本来の胃内消化が行われる。なお,ラクダ類は反芻類ではないが,3室からなる複胃をもち反芻する。

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普及版 字通 「反芻」の読み・字形・画数・意味

【反芻】はんすう

もどし食い。

字通「反」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「反芻」の意味・わかりやすい解説

反芻
はんすう

反芻胃

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世界大百科事典(旧版)内の反芻の言及

【反芻胃】より

…胃内容を口腔に吐きもどして再そしゃくし,唾液(だえき)と混合させて再び嚥下(えんげ)することを反芻ruminationという。ウシ,キリン,シカ,マメジカなどの反芻類の胃を一般に反芻胃といい,第一胃(こぶ胃)rumen,第二胃(蜂巣(ほうそう)胃)reticulum,第三胃(重弁胃)omasum,第四胃(皺胃(しゆうい))abomasumの4室よりなる。…

※「反芻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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