内科学 第10版 の解説
レニン—アンジオテンシン—アルドステロン(RAA)系(心臓血管ホルモンと疾患)
RAA系には全身のRAA系と局所のRAA系が存在する.全身のRAA系は,肝臓で産生されたアンジオテンシノゲンが腎臓のJG細胞より分泌されるレニンで切断され,アミノ酸10残基よりなるアンジオテンシンⅠが生成され,さらに肺で産生されるアンジオテンシン変換酵素によりC端のアミノ酸2残基が切断され活性型のアンジオテンシンⅡが生成される.また,副腎皮質の球状層に働いてアルドステロン産生・分泌を促進する.アンジオテンシノーゲンは心臓や血管局所でも産生されており,局所でアンジオテンシンⅡが産生される.局所のアンジオテンシン産生経路ではレニンやアンジオテンシン変換酵素に依存する経路とほかの蛋白分解酵素に依存する経路が存在する.いずれにせよ,心臓や血管局所で産生されたアンジオテンシンⅡは1型受容体(AT1)に結合して,血管平滑筋収縮作用,心筋肥大作用,線維化作用を惹起する.[斎藤能彦]
■文献
Nakao K, Ogawa Y, et al: Molecular biology and biochemistry of the natriuretic peptide system. I: natriuretic peptides. J Hypertens, 10: 907-912, 1992.
Saito Y: Roles of atrial natriuretic peptide and its therapeutic use. J Cardiol, 56: 262-270, 2010 .
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報