日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウェスタン・エレクトリック
うぇすたんえれくとりっく
Western Electric Co., Inc.
アメリカの元通信機器メーカー。AT&T(アメリカ電話電信会社)の100%子会社として製品の90%以上を同社に納入していた。1869年にクリーブランドでグレー・アンド・バートン社として誕生したときには、AT&Tとはなんらの関係もなく、電気掃除機、ミシン、ラジオなどを製造する家電メーカーであったが、1882年にベル・システム(AT&Tとその子会社網)にその過半数株式を握られてから、会社の性格を一変させた。以来、ウェスタン・エレクトリックは、ベル・システムで用いられるコミュニケーション機器の製造に力を傾注してきた。ウェスタン・エレクトリックは、1982年当時で売上高125億ドルを上回り、従業員数5万9000人に達する全米22位の巨大工業会社となった。しかし、1984年のAT&Tの分割以降、同社はベル・ラボラトリーズ、AT&Tインターナショナル、ABIとともに、AT&Tテクノロジーズに吸収合併されるに至った。AT&Tテクノロジーズは、AT&Tコミュニケーションズと並んで分割後のAT&Tの二大部門の一つとして、非規制分野の通信・情報機器の開発、製造、販売を行った。なお、AT&Tテクノロジーズは1997年にAT&Tの再分割が行われた際にルーセント・テクノロジーズLucent Technologies Inc.として分離独立し、さらに2006年フランスの通信機器メーカーのアルカテルと合併してアルカテル・ルーセントAlcatel-Lucentとなった。
[佐藤定幸]