ラジオ(読み)らじお(英語表記)radio

翻訳|radio

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジオ」の意味・わかりやすい解説

ラジオ
らじお
radio

広く無線全般を意味することばだが、一般的には電波による音声放送とその受信機をさすことが多い。ラジオ放送には中波、短波、超短波帯の電波が、それぞれの特性・特徴を生かして用いられている。日本では中波が国内向け標準放送として、短波がおもに海外向け国際放送として、そして超短波が音質の優れたFM放送として使われている。

[木村 敏]

歴史

1888年H・R・ヘルツが電磁波(電波)の存在を実証し、1895年マルコーニが初の無線電信実験に成功して、電波による通信の可能性が開けた。1900年にアメリカのR・A・フェッセンデンが高周波発電機式無線電話を発明、1906年のクリスマス・イブにマサチューセッツ州ブラントロックの実験局からこの無線電話(長波)によって音楽と挨拶(あいさつ)を電波にのせた。これがおそらく最初のラジオ放送だろうと『放送五十年史』(日本放送協会編)は述べている。また、同1906年には、アメリカのド・フォレストが三極真空管を発明し、ラジオ放送に欠かせない連続電波の発生と変調装置発展の基礎を開いた。1908年、ド・フォレストはフランスに渡り、エッフェル塔からレコード音楽を放送して注目を浴び、また1910年にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場からオペラの中継放送を行っている。

 1920年アメリカのウェスティングハウス社がピッツバーグにKDKA局を開局、これが世界最初の固定のラジオ放送局となった。KDKA局が大統領選挙戦の開票結果を中継して大きな反響をよんだことから、その後アメリカのラジオ放送局は急速に増加し、2年後の1922年末には全米で569局を数えるまでになっている。

 ヨーロッパでは1920年にイギリス、オランダ、ドイツが、また1921年にフランスが実験放送を始め、1922年からは、フランス国営放送、イギリス放送会社(現在のBBCの前身)、ソ連のモスクワ放送局(ソ連崩壊後は「ロシアの声」となる)などが本放送を開始している。

 日本では1921年(大正10)に民間人によって初めてラジオ電波が発射された。1923年には逓信(ていしん)省令「放送用私設無線電話規則」が制定され、また新聞社などによるラジオの公開実験が各地で開かれて、一般のラジオへの関心が高まってきた。1925年3月22日、社団法人東京放送局が芝浦の東京高等工芸学校から仮放送を220ワットで開始した。本放送は、同年7月から東京、芝の愛宕(あたご)山に新装なった局舎から1キロワットで始まっている。大阪放送局、名古屋放送局も同年相次いで開局、翌1926年この3局は社団法人日本放送協会(現在は特殊法人)に一本化された。

 1950年(昭和25)電波法、放送法、電波監理委員会設置法が成立し、それまで社団法人日本放送協会(NHK)でのみ行ってきた放送が一般にも開放され、広告料収入によって経営される民間放送の設立が可能になった。翌1951年9月には名古屋の中部日本放送と大阪の新日本放送(現、毎日放送)が開局、以後各地に次々と民間放送が開局した。

 短波放送はその電波が遠距離まで届くということから、日本では1935年以来海外向け放送に利用されてきた。当初は北アメリカ、ハワイ向けに日本語と英語による1時間の放送であったが、2012年度(平成24)時点では、日本の八俣(やまた)送信所(茨城県)および11か所(中波放送とFM放送を含めた場合は21か所)の海外中継送信所から、全世界に向けて18の言語により、1日当り延べ55時間55分の放送が行われている。一方、1954年から、民間放送の日本短波放送(2003年日経ラジオ社に社名変更)が、千葉・長柄(ながら)と北海道・根室(ねむろ)の2か所の送信所から、日本全国を対象に、ニュース、株式などのサービスを開始している。

 超短波FM放送は、1929年アメリカのE・H・アームストロングの周波数変調(FM)方式の発明と1936年の実用化成功でその基礎が開かれた。1938年世界最初のFM実験放送局がアメリカに誕生、ステレオ放送も1961年に始まっている。

 第二次世界大戦後、中波の周波数割当てを削減された西ドイツは、FM放送による全国カバーを計画し、1949年に放送を開始した。

 日本では1957年12月NHK東京に初めての実験局が開設され、翌1958年にはFM東海にも実験局開設が認められた。その後ステレオ放送の信号多重方式について検討が進められ、1963年12月、NHK東京、大阪、名古屋など既設の9局がステレオ実験放送を開始した(モノホニック放送については実用化試験となる)。日本のFM放送は、実用化試験あるいは実験放送の期間が長く、1969年3月になってようやく本放送開始となった。このときすでに、NHKは全国に170のFM放送局を設置しており、これが一挙に本放送となったのである。続いて東京、大阪、名古屋、福岡に民放FM局が誕生した。

 一方、FM放送の電波に重畳できる信号の検討についても1975年から審議され、1994年に民間のエフエム東京が、音声とともに文字情報を送るFM文字多重放送(サービス名「見えるラジオ」)の放送を開始。その後他局も加わり、局名など音声と関連した情報およびニュースなど、音声と独立した情報を放送した。しかし、ラジオ受聴者の減少とインターネットの普及によって文字多重放送の需要は減少。見えるラジオのサービスは、2014年3月に終了となった。

[木村 敏]

ラジオ放送の電波とその性質

中波放送

526.5~1606.5キロヘルツまでの中波帯の電波を使用する放送で、日本では531~1602キロヘルツの周波数を9キロヘルツ間隔で使うように割り当てられている。放送の方式としては、搬送波成分と搬送波を音声信号振幅変調(AM)することによって生じる上・下の側帯波を同時に伝送する両側波帯振幅変調方式がとられている。

 中波放送は、その波長の長いことから、電波がおもに地表に沿って伝搬し、また地形などの影響を受けにくいので、1局当りのサービスエリアが広くとれること、建造物による遮蔽(しゃへい)や反射による影響がなく、自動車などの移動体でも安定した受信ができること、さらには受信機が比較的簡単で信頼度が高く、安価につくれることなどの利点がある。その反面、音声帯域幅が7.5キロヘルツに制限されており、FM放送の15キロヘルツに比べて音質的に見劣りがすること、使用周波数が低いので空電などの自然雑音人工雑音の混入が多く、しかもその改善がむずかしいこと、夜間になると中波帯を反射する電離層が発生するため、遠方の放送局の電波が到来して混信するなど、いくつかの問題点がある。

 FM放送の発展に伴い、中波放送の音質改善やステレオ放送の問題がクローズアップされ、アメリカでは高域強調やステレオ放送が実施された。日本でも高域強調の実用化に続き、ステレオ放送についてもアメリカと同じ方式であるC-QUAM方式(compatible quadrature amplitude modulation system)を日本の標準方式とし、1992年(平成4)、東京と大阪の民放5局で開始された。その後2000年時点では民放16局で実施されていたが、2000年代後半にはモノラル放送への切替えが相次ぎ、ステレオ放送を実施するのは一部の局のみとなった。

[木村 敏]

短波放送

短波帯電波は電離層(E層、F層)で反射され、数千キロメートルの遠方まで届くことから、おもに国際放送に使われるほか、国土が広く放送網の完備していない国などで国内放送に使われている。使用周波数は3、6、7、9、11、15、17、21、25メガヘルツ帯。電離層の高さや密度は、太陽の影響を受けて、季節や1日の時間帯によっても変化する。そのため受信地域に電波が効率よく届くよう、放送時間、放送周波数を選択するほか、同一地区へ向けての放送も時間帯によって周波数を切り替えたり、複数の電波を利用したりする。季節によって周波数を変更するのはいうまでもない。変調方式は中波放送と同じ両側波帯振幅変調、周波数間隔は5キロヘルツである。現在、短波放送は一つの周波数に何局もがひしめく状態にある。互いに良好な受信を求めて大電力化が進められ、これがまた混信を増大するという悪循環をもたらしている。そこでいま、周波数の有効利用を図ろうと、上・下いずれかの側波帯のみを伝送する単側波帯放送方式の導入が国際的に検討されている。

 日本の海外放送「ラジオ日本」は、NHKが番組を制作し、KDDIの送信設備を使って放送するほか、カナダやガボンなどの放送施設を借りて中継放送を行っている。短波の国内放送を実施している日経ラジオ社は、東北から南西にかけて細長い国土をもつ日本を1局でカバーしようと、比較的周波数の低い3、6、9メガヘルツ帯の電波を使って放送している。

 短波放送は複雑な電離層からの反射電波を利用するので、受信点には伝搬経路の異なったいくつかの電波が到来する。これが互いに干渉しあい、放送の音の大きさや音質に変化を生じる。これがフェージングとよばれる現象である。フェージングは短波に限ったものではないが、短波においてもっとも顕著に現れる。

[木村 敏]

超短波放送

VHF帯の電波を使用する音声放送で、その変調方式が周波数変調(FM)であることから、一般にFM放送とよばれている。日本のFM放送に割り当てられている周波数は、76~90メガヘルツまでで、1局の周波数幅は0.2メガヘルツである。FM放送には、外来雑音に強く、ダイナミックレンジ(音の大きさの変化差)が大きく、伝送周波数帯域が広くとれるので、よい音質のハイファイ放送、ステレオ放送ができるという特徴がある。しかし、VHFの電波は直進性が強いのでサービスエリアが広くとれず、全国放送のためには多くの放送所を必要とするとか、山やビルによって電波が反射されるので、指向性アンテナを用いて直接波だけを受信するなどの注意を払わないと、音にひずみが生じるなどの問題もある。

 現在設置されている日本のFM放送局は、すべてステレオ放送を実施している。その方式は、モノホニック放送との両立性を考慮した「搬送波抑圧AM-FM方式」(パイロットトーン方式)である。これは、主チャンネルにモノホニック信号となる左の音と右の音の和を、副チャンネルにステレオ再生用の信号として左と右の音の差を伝送するもので、副チャンネルは38キロヘルツの副搬送波を振幅変調(AM)して主チャンネルに多重化し、また副搬送波を抑圧するかわりに19キロヘルツのパイロット信号を付加している。最後にこれらの多重信号により主搬送波を周波数変調(FM)している。

 一方、FM放送の電波に別の信号を重畳できるFM多重放送については、1975年(昭和50)から固定受信方式の検討が始められたが、移動体向けに道路交通情報などのデータを付加して放送する方式の開発も進められた。最終的に、文字、図形、付加情報、道路交通情報などの高い伝送容量を伝送可能なDARC(data radio channel)方式が、1995年(平成7)にITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)で勧告された。日本では、1994年にFM文字多重放送が開始され、番組に関連する曲名やアーティスト名、ニュース、天気などが提供された(2014年3月終了)。また、1996年には移動体向けに交通情報を提供するVICS(ビックス)(道路交通情報通信システム)のサービスが開始された。

[木村 敏]

放送局の設備

ラジオ放送局の設備を大別すると、スタジオやマイクロホンといった番組制作設備、番組の送出に必要な運行設備、番組を電波にのせる送信設備となる。

[木村 敏]

マイクロホン

音、すなわち空気の振動を電気信号に変える装置である。現在、磁界の中に置いたコイルやアルミ製薄膜の振動によって生じる電圧を取り出すもの、振動板とこれに接近して配置した固定電極間の静電容量の変化を取り出すものがおもに用いられている。性能、形はさまざまであり、用途に応じて使い分けられている。

[木村 敏]

ラジオスタジオ

ラジオ放送局には、音楽、ドラマ、ディスク・ジョッキーなど、それぞれの用途に応じた大きさと音響特性をもつスタジオがいくつか設備されている。スタジオの中は、外部の騒音や振動から完全に遮断される必要があり、このため壁をコンクリートの二重構造としたり、防振ゴムによってスタジオそのものを建物本体から隔離させる浮き構造にしたりしている。また、スタジオ入口の防音扉や換気口での空気の流れの音にも細かな神経が払われている。

 スタジオの音響効果に影響を与える特性として、残響と反射がある。残響は、その時間が長いと音の分離が不明瞭(ふめいりょう)になり、短すぎると豊かさがなくなる。最適残響時間は、ことばの明瞭度が問題になるスピーチ専用スタジオで0.25秒程度、ドラマや小編成の音楽・合唱の一般スタジオで0.35~0.6秒、音の響きや各楽器音のバランスのよさが求められる音楽専用スタジオで1秒以上とされている。残響は部屋の形にも影響される。部屋の三辺の寸法比によってはある周波数の響きが長く残る。これを防ぐには、スタジオの間口・奥行・高さの比率を (3n になるようにするのがよいとされる。また、最適残響時間を得るためスタジオの壁には各種吸音材が使われている。反射による鳴き竜現象やエコーを防ぐには床と天井、向かい合う壁が平行になるのを避ければよい。音楽番組では各楽器ごとにマイクロホンを立て、ミキシングによって音響効果を高める手法がとられている。このため他の楽器音のかぶりをなくすため、複数の遮音ブースをもつスタジオも導入されている。

 スタジオ内の設備としては、時計、マイクロホンコンセント、副調整室からの指示を伝えるトークバックなどがある。なおアナウンサー用のマイクロホンには、手元で操作できる音量調節器がついている。

[木村 敏]

副調整室

スタジオ内に設置した数本から十数本のマイクロホンの音量を適切に調整し、また音楽や効果音の録音テープ、レコードなどを再生してスタジオ音と合成あるいは切り替えて一つの番組をつくりあげていくための部屋である。スタジオに隣接して置かれる。したがって、副調整室には、音声調整卓を中心に、モニター用スピーカー、テープ録音再生機、レコードプレーヤー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、DAT(デジタルオーディオテープレコーダー)などが設備されている。調整卓のもつ機能はスタジオの規模によってさまざまだが、音の切り替え、混合ばかりでなく音色の変換、残響付加なども行え、番組効果を高めるのに役だっている。音楽番組などではマルチトラック録音機による収録が盛んになり、このテープ素材から放送番組をつくるための調整室も設備されるようになった。なお、DAW(digital audio workstation:デジタルオーディオ・ワークステーション)を活用した制作手法が主流になりつつある。DAWとは、編集、同期、再生、ミキシングなどの処理を、デジタル信号のままで行うデスクトップ型のテープレスの音声レコーディングシステムである。DAWは画面上への音声信号の波形の表示や高速なランダムアクセスなどの優れた特徴があるので、音声の後処理、編集作業(これはポスプロ、MA作業とよばれている)などの分野において、より高精度に、より能率的に作業を進めることが可能になった。現在のDAWは、パーソナルコンピュータ(パソコン)に専用のソフトを用意することで実現するシステムと、専用のハードウェアを用いて実現するシステムがある。操作はキーボード、マウス、タッチスクリーン、タブレットペンなどで行う。記録媒体はRAM、大容量ハードディスク、光磁気ディスクなどがある。

 今後は、DAWなどの単体機器にとどまらず、放送局内のデジタル音声機器をネットワークを通して結合し、ネットワーク上で音声信号の受信から送信までトータルに行える全デジタル音声放送システム(DTR、デスクトップラジオ)などへの新しい展開が考えられる。

[木村 敏]

主調整室

各副調整室の出力や中継現場、他の放送局からの番組は、ここに集められ、時間によって切り替えられ、放送所や他の放送局へ送られる。生(なま)放送の多い中波ラジオでは、スタジオの音声が副調整室、主調整室を通ってすぐ放送所に送られるが、FM放送や中波ラジオの教育番組、コマーシャルなどは録音番組が多く、主調整室に録音再生機を備えて放送している。なお主調整室における番組の切り替えにはコンピュータ・システムが導入されており、複雑な作業を効率的に処理している。

[木村 敏]

局外制作

音声番組の局外制作はテレビに比べて単純容易であり、機動性に富んでいる。したがってニュース、スポーツ、演劇をはじめ、自然音の収録など幅広く行われている。屋外制作での注意点は、マイクロホンに入る風の音である。マイクロホンの選択に注意し、またウィンドスクリーンの使用などによって風の音の軽減を図る必要がある。音源が移動する場合にはワイヤレスマイクを、また音源に近づけない場合には集音機を使用する。

 局外中継の音声信号は、通常、電話回線を利用して主調整室に送られるが、中継車、ニュースカー、ヘリコプターなどの移動体からの中継も増えており、VHF連絡電話装置が活躍している。

[木村 敏]

放送所

音声番組を電波にのせ空間に放射する放送所には、放送機、アンテナ、非常用電源設備などを備える。中波、短波の放送所は広い敷地が必要なことと、放送所付近ではその強い電波によって他の放送局の電波が受信できなくなるため、人家の少ない郊外につくられる。また超短波放送の放送所は、テレビの放送所と同様に市内の高い鉄塔や都市近郊の山頂に置かれ、スタジオからの番組は有線または無線回線で放送所に届けられる。放送機器の安定度・信頼度が増したので放送所は無人化され、主調整室から遠隔制御されている。

 中波放送は非常災害時における重要な放送メディアである。これは1995年(平成7)の阪神・淡路(あわじ)大震災のときにも認識されている。したがって、中波の放送機には高い信頼度が要求され、同一規格の送信機2台以上を並列運転する方式を採用するほか、予備送信機を備えていることも多い。また自家発電設備も設置している。中波放送の送信アンテナには、利得が大きく、アンチフェージング効果のよい支線式円管鉄柱の半波長垂直アンテナが多用されている。中波の波長は数百メートルなので、アンテナ高も200メートル前後になる。アンテナの支線や地中に埋め込む放射状銅線(アース)を張るためどうしても広い敷地を必要とする。NHK東京放送局の菖蒲久喜(しょうぶくき)放送所(第一放送300キロワット・594キロヘルツ、第二放送500キロワット・693キロヘルツ)の送信アンテナ高は、それぞれ245メートル、215メートルである。

 短波放送の送信機は、送信方向や送信時間に応じた最適周波数を選ぶ必要から、1日のうちに数回送信周波数を変更することがある。また、電波を必要な方向に効率よく発射するため、指向性をもったアンテナを接続して使用する。したがって周波数の切り替えやアンテナの接続変更が容易なことが望ましい。

 超短波放送はテレビの送信と同じ条件であり、テレビの放送所に併設され、送信鉄塔を共用することが多い。また、テレビと同様に山間地や離島には、親局の電波を受けて再送信する中継放送所が設けられている。

[木村 敏]

将来の展望

2000年12月にスタートしたBSデジタル放送は、ハイビジョン放送やデータ放送が中心であるが、テレビ放送とは別にBSデジタル音声放送(BSデジタルラジオ)を提供している。BSデジタルラジオは、2007年にいったんは放送終了となったが、2011年に放送大学が放送を開始したことにより再開された。

 一方、地上デジタル放送では2003年12月に開始されたテレビジョン(地上デジタルテレビ放送)に先駆けて、同年10月に、地上デジタル音声放送(デジタルラジオ)の実用化試験放送が首都圏と近畿圏で開始されたが、2011年3月末に放送終了となった。

[木村 敏]

『日本放送協会編『放送五十年史』(1977・日本放送出版協会)』『日本放送協会編『放送技術双書』全14巻(1982・日本放送出版協会)』『NHK放送技術研究所編『ディジタル放送技術事典』(1994・丸善)』『日本民間放送連盟編『放送ハンドブック』(1997・東洋経済新報社)』『吉岡翔著『ラジオは何時もホットなメディア』(1997・弓立社)』『竹山昭子著『ラジオの時代』(2002・世界思想社)』『NHK放送文化研究所編『NHK・データブック世界の放送』各年版(日本放送出版協会)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラジオ」の意味・わかりやすい解説

ラジオ
radio

(1) 広く電磁波の発信・受信一般をさすことば。(2) ラジオ放送受信機。放送局から発信される電波をとらえて,これを音声に復元する機械。用いる電波の周波数帯により,中波受信機,短波受信機,超短波(FM)受信機に大別される。日本では 1925年の初放送以来普及し,鉱石式,真空管式,トランジスタ式へと検波方式が非常な発達を示し,ハイファイ音響再生装置を具備したものが普通。テレビジョンの普及によって一時的に衰微した時代もあったが,技術の進歩,個人の好みの変化,用途の変化などのため再び普及した。FM放送のほか中波放送(→AM放送)もステレオ放送が行なわれている。1990年代,ヨーロッパで,地上波または人工衛星を経由したデジタル音声を送信するデジタルオーディオ放送 Digital Audio Broadcast; DABが始まった。アメリカ合衆国では 2002年に連邦通信委員会 FCCがデジタル方式のラジオ放送を許可して以降,普及した。(→放送

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