改訂新版 世界大百科事典 「ウェルニッケ」の意味・わかりやすい解説
ウェルニッケ
Carl Wernicke
生没年:1848-1905
ドイツの精神神経病学者。ブレスラウ大学卒,1885年同大学精神神経科教授,1904年ハレ大学教授となったが,05年自転車事故で死亡した。精神病は脳病であるという立場の器質論者であり,W.グリージンガーの流れをくむマイネルトT.MeynertとウェストファルC.Westphalの弟子。精神神経疾患について精神反射弓の理論(感覚→精神内界→運動)を用いて研究し,脳病変の局在学を重視した。失語症の分類図式(ウェルニッケ=リヒトハイムの図式)を作り,感覚失語の病巣(左側頭葉,ウェルニッケ中枢)を決定した。アルコール中毒のウェルニッケ脳炎でも有名。精神病の独特の分類はクライストK.Kleist,レオンハルトK.Leonhardに受け継がれている。
執筆者:浅井 昌弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報