弟子(読み)デシ

デジタル大辞泉 「弟子」の意味・読み・例文・類語

で‐し【弟子】

師について、学問や技芸の教えを受ける人。門人。門弟。また、徒弟。ていし。「内弟子」「じき弟子
[補説]書名別項。→弟子
[類語]門弟教え子門人門下門下生高弟愛弟子生徒学生学徒学童在校生塾生門生スチューデント児童園児

てい‐し【弟子】

でし(弟子)」に同じ。
「師にあつきは―の分」〈漱石虞美人草
年の若い者。年少者。

でし【弟子】[書名]

原題、〈フランスLe Discipleブールジェによる長編小説。1889年発表。当時のフランスの科学万能主義の傾向一石を投じる内容で、物議をかもした。

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精選版 日本国語大辞典 「弟子」の意味・読み・例文・類語

で‐し【弟子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 師を父兄とみたてていう語 ) 師について個人的なつながりを持って仕えながら、学問や技芸などの教えを受ける人。門人。門弟。ていし。また、職人の徒弟。
    1. [初出の実例]「宮あこまろをでしにし給へ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
    2. 「此職人にもちいさき弟子(デシ)二人ありしが」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)一)
  3. 仏語。釈迦の直弟子である声聞(しょうもん)をいう。また広く、釈迦入滅後の比丘、比丘尼や在家信者にも用いる。〔大日本国法華経験記(1040‐44)〕
  4. 数珠の珠の中で、母珠と称する大きな珠の先からたれる末端の房に一番近い一〇個の小さな珠をいう。
    1. [初出の実例]「御念珠をなげいだされたりければ、弟子を足にして二三帀ばかり走あゆみたりければ」(出典:古今著聞集(1254)二)

てい‐し【弟子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. でし(弟子)
    1. [初出の実例]「有事弟子(テイシ)其労、有酒食先生饌〈略〉〔為政篇〕」(出典:文明本節用集(室町中))
    2. [その他の文献]〔孟子‐公孫丑上〕
  3. でし(弟子)
    1. [初出の実例]「弟子(テイシ)(高良本ルビ)北闕の雲を辞して八日」(出典:平家物語(13C前)五)
  4. 年の若い者。幼い者。子弟。〔易経‐師卦〕

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普及版 字通 「弟子」の読み・字形・画数・意味

【弟子】ていし

年下若者。門人。〔史記、儒林伝〕ふ、官に因りて興し、士官の爲に弟子五十人を置き、~太常、民の年十以上、儀端正なるを擇びて、士弟子に補せん。

字通「弟」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「弟子」の意味・わかりやすい解説

弟子
でし
Le Disciple

フランスの作家ポール・ブールジェの長編小説。1889年発表。グレルーは尊敬する師アドリアン・シクストの科学的な決定論を実験しようとして貴族の令嬢を誘惑する。彼女には婚約者があったが誘惑に負けて身を任せ、情死まで決心する。だが彼の日記を見て彼の真意を知り自殺する。そして彼も彼女の兄に射殺される。弟子の死を知った師はこの悲劇の原因は自分にあったことを痛感し、科学の絶対性に疑いを抱き、これまで否定していた神秘的なものに心を打たれて神に祈りを捧(ささ)げる。この師は実証主義の代表者テーヌがモデルといわれ、この作品は実証主義の危険を説くとともに、研究発表の際の学者の責任を追及したものとして、当時、大きな問題を提起した。

新庄嘉章

『山内義雄訳『弟子』(『世界文学全集第二集 19』所収・1956・河出書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弟子」の意味・わかりやすい解説

弟子
でし
Le Disciple

フランスの小説家ポール・ブールジェの小説。 1889年刊。作者の思想が右翼的方向に転換する時期の作品で,テーヌ流の実証主義者の破綻を描いている。

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世界大百科事典(旧版)内の弟子の言及

【親分・子分】より

…出生時に頼む〈取上親〉〈名付親〉,また病弱な子を儀礼上いったん捨て子する形をとり,あらかじめ頼んでおいた人に〈拾い親〉になってもらうことによって健康な子になると考える風習もあったが,最も一般的には,成人するとき男は烏帽子親(えぼしおや),女は鉄漿親(かねおや)を頼み,また結婚するときに仲人親を頼むというように,仮親に依存することであった。ムラや生まれ育ったマチを離れ,生家を離れて他のマチの商家や職人の家の家長を親方とすることは,子飼い住込みの丁稚(弟子)奉公人となるときに,その家の子方となることを意味した。生家を去って主家のコとなるのであるから,家業経営の親方である主家の家長は彼らに新しい名,丁稚としての名を与えた。…

【ブールジェ】より

…これは彼の青春に強烈な影響を及ぼしたフランスの詩人,小説家,思想家たちを論じ,時代の精神的病患の徴候と動機を探ろうとしたものである。道徳の病患を分析し,それからの治癒を目ざす彼は,やがて小説の創作にも励み,《アンドレ・コルネリス》(1887),《弟子Le disciple》(1889)等で作家的成功を収めた。なかんずく後者はテーヌ流の実証科学至上主義への挑戦状ともいうべき小説であり,著作家の道徳的責任を追究した秀作である。…

※「弟子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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