ウルツ反応(読み)ウルツはんのう(その他表記)Wurtz reaction

改訂新版 世界大百科事典 「ウルツ反応」の意味・わかりやすい解説

ウルツ反応 (ウルツはんのう)
Wurtz reaction

ハロゲン化アルキル金属ナトリウムを作用させて,二量化生成物を得る反応。1855年C.A.ウルツにより発見された。ウルツ反応自身は対称な炭化水素の合成反応であるが,フィティヒRudolf Fittig(1835-1910)は64年この反応を芳香族ハロゲン化物(ハロゲン化アリール,次式のArX)とハロゲン化アルキルとのカップリング反応に応用した。これはウルツ=フィティヒ反応(単にフィティヒ反応ともいう)として知られる。この場合,ArXが優先的にメタル化されてArNaが生ずるので,R-Arのカップリング生成物が優先的に生成する。ハロゲン化物(RXおよびArX)の反応性は,ヨウ化物>臭化物>塩化物順序となり,ハロゲン化アルキルの間では,同じハロゲンであってもアリルおよびベンジル誘導体が高い反応性を示す。ArXどうしの二量化反応も同様の条件下で行われる。これらの反応は工業的には重要だが,実験室ではほとんど使われない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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