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炭化水素 たんかすいそhydrocarbon

翻訳|hydrocarbon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

炭化水素
たんかすいそ
hydrocarbon

炭素と水素とから成り立っている有機化合物。一般的に水に溶けず,有機溶媒に溶けるものが多い。炭素原子の結合様式により,鎖式炭化水素と環式炭化水素に大別される。鎖式のものは脂肪族炭化水素といい,環式のものには,脂環式炭化水素とベンゼン環を基本骨格とする芳香族炭化水素がある。また炭素原子間の結合が単結合だけであるか多重結合を含むかにより,飽和炭化水素不飽和炭化水素に分けられる。天然ガスや石油は多種類の炭化水素の混合物であり,工業的に合成される炭素化合物の原料として用いられる。天然ゴムはイソプレン分子が線状に結合した構造をもつ高分子炭化水素であり,ポリエチレンやポリプロピレンは合成高分子炭化水素である。植物精油中に含まれるテルペン類や植物中のカロテノイド類にも炭化水素であるものが存在する。たとえば動物油脂中のスクアレンは C30H50 の炭化水素である。炭化水素は,大気汚染が進行するにつれて,光化学スモッグの原因として,また発癌性物質として注目を集めるようになった。窒素酸化物との共存下で光化学スモッグを発生させる。発生源は自動車や航空機の排出ガス,石油類貯蔵タンク,塗料,有機溶剤の使用工場,石油精製工場などであるが,自動車の発生寄与率が約 50%と最も大きい。また,多環芳香族には,自動車排出ガス,たばこなどに含まれる3,4ベンツパイレン,1,2,5,6-ジベンゾアントラセンなどの強い発癌性のあるものがある。

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百科事典マイペディアの解説

炭化水素【たんかすいそ】

炭素と水素からなる化合物(一般式C(/n)H(/m))の総称。有機化合物の基本体ともいうべきもので,石油,天然ガス,テルペン類等の天然物質の主成分をなす。炭素原子の結合した骨格構造を有し,その構造により,鎖式炭化水素と環式炭化水素に,または脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素等に分類。
→関連項目オキシダント自動車排出ガス規制石炭ガス石油石油化学

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栄養・生化学辞典の解説

炭化水素

 炭素と水素だけからなる化合物.直鎖のもの,分枝のあるもの,環状の構造のものなどがある.

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世界大百科事典 第2版の解説

たんかすいそ【炭化水素 hydrocarbon】

炭素と水素だけからなる有機化合物の総称。一般式はCnHmであり,糖類の別名である炭水化物carbohydrate(一般式Cm(H2O)n)と混同してはならない。炭化水素は有機化合物の骨格であり,ほとんどの化合物は炭化水素の水素を他の原子もしくはで置換したものとみなすことができる。炭化水素は炭素骨格の形状に従って表のように分類されるが,分類のしかたは必ずしも一義的ではない。もとより,この分類はきわめて単純化したものであり,この分類に該当しない化合物も多い。

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大辞林 第三版の解説

たんかすいそ【炭化水素】

炭素と水素だけから成る化合物の総称。炭素原子どうしの結合の様式によって、アルカン(メタン系)・アルケン(エチレン系)などの鎖式炭化水素と環式炭化水素に分け、後者はさらに脂環式炭化水素と芳香族炭化水素とに分ける。また、炭素原子間に多重結合を含む不飽和炭化水素と含まない飽和炭化水素に分ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

炭化水素
たんかすいそ
hydrocarbon

炭素と水素のみからなる化合物の総称。炭素‐炭素結合により有機分子の骨格をつくり、有機化合物の母体になっている。骨格を構成する炭素原子の配列により、鎖式炭化水素と環式炭化水素に大別され、それぞれが飽和化合物、二重結合、三重結合をもつ不飽和化合物に分類される。環式炭化水素の特別なものとして芳香族炭化水素がある。に基本的化合物の例とともに分類を示す。[佐藤武雄・廣田 穰]

存在

石油や天然ガスの主成分として大量に産出する。植物界にもテルペン類をはじめ、各種の炭化水素類が存在する。ゴムノキから得られる生ゴムは、植物から産する高分子炭化水素の例である。[佐藤武雄・廣田 穰]

用途

各種燃料、溶媒として広く用いられる。石油原油からは改質処理により各種炭化水素が生産されている。天然ガスは都市ガスとして多量に用いられるようになってきている。生ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどは炭化水素ポリマーの例である。
 なお、大気中に気体として排出された炭化水素は大気汚染の汚染源となる。すなわち、汚染大気中では、炭化水素と窒素酸化物とから光化学反応によって、光化学スモッグが発生する。このため現在では大気汚染防止法、悪臭防止法によって排出規準が定められている。[佐藤武雄・廣田 穰]
『栗栖安彦著『炭化水素の化学 概論及び酸素酸化反応』(2001・アイピーシー)』

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世界大百科事典内の炭化水素の言及

【化学化石】より

…化石の有機物については,すでに1954年にP.H.アーベルソンによって,デボン紀以降の各種の化石からアミノ酸が検出され,化石の研究に生化学の方法が導入できるとして,古生化学という研究分野が提唱されていた。最も安定な有機化合物は炭化水素で,炭素‐炭素の結合エネルギーは66.5kcalである。このように大きな結合エネルギーのために,炭化水素がクラッキング(炭素‐炭素結合の切断)によって分解し,1/2.31の量にまで減少するのに,300Kで1027年,400Kで1014.5年を要するという。…

【ガソリンエンジン】より

… 4サイクルエンジンでは,ピストンの2往復で1回の燃焼しか行われないが,2サイクルの場合は1往復で1回の燃焼が行われるので回転力が大きく,また弁およびその駆動機構が省けるため構造も簡単にできる利点がある。しかし,反面,変動する運転条件下で良好な掃気を行うことは困難であり,混合気の素通り損失のため燃料消費率の増大や排気中の未燃炭化水素の増加をきたす。
[特徴と用途]
 内燃機関のうち,ガソリンエンジンとともに広く使用されているディーゼルエンジンと比較した場合,長所としては,(1)重量または容積当りの出力(比出力)が大きい(これはおもに燃焼の際の爆発圧力が低いため,軽量にできることと,高速回転できることによる),(2)運転が静粛で,回転力の変動も少ない(主として燃焼が比較的緩やかな火炎伝播によるため,圧力上昇率が低いことによる),(3)高速回転できる(おもに混合気を燃焼させるため,混合気形成に時間を必要としないことによる),(4)排気ガス対策の有効な手法がある(触媒コンバーターや排気再循環などが有効に使える),(5)製造コストが比較的低い(ディーゼルエンジンで必要な高圧燃料噴射ポンプが不要で,爆発圧力が低いため,構造が比較的簡単であることによる)などがあげられる。…

※「炭化水素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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