グループトランスファー重合(読み)グループトランスファージュウゴウ

化学辞典 第2版 の解説

グループトランスファー重合
グループトランスファージュウゴウ
group transfer polymerization

アクリルモノマーの重合において,特定の開始剤部位が成長末端に移動しながら重合が進行する反応をいう.重合はリビング重合的に進行し,単分散に近いポリマーを得ることができる.ケテンシリルアセタールのα,β-不飽和ポリエステルなどへのマイケル付加反応,アルデヒドとシリルエーテル間のアルドール縮合などを用いた重合例が知られている.マイケル付加型グループトランスファー重合例として,メタクリル酸メチルを用いた例を以下に示す.

重合は,開始剤であるケテンシリルアセタールのメタクリル酸メチルのβ位炭素への求核付加反応により進行する.ポリマー末端から付加されるモノマー側へトリメチルシリル基が移動することにより,開始剤部位がつねにポリマー末端に再生される.実際の反応機構については現在も検討され続けているが,全体としては対カチオンがかさ高い場合のアニオン重合にきわめて近い反応であると指摘されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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