ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャクティ」の意味・わかりやすい解説
シャクティ
Śakti
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…これらの神々を中心に宗派間の対立も見られるが,三神は一体であるという思想も現れた。またシバ神の神妃の性力シャクティの崇拝は,タントリズムの重要な要素を占め,中世以降のヒンドゥー教に特色を与えている。また牛などの動物,トゥルシーなどの草木,ガンガー川などの河川やワーラーナシーなどの聖地の崇拝も行われている。…
…ハタ・ヨーガ,クンダリニー・ヨーガによれば,会陰あたりにあるムーラーダーラ・チャクラに宿る性力(シャクティ)のことで,シバ神妃のシャクティないしドゥルガーと同一視され,蛇の形をとってとぐろを巻いている。ヨーガを修すると,この蛇は脊椎中のスシュムナー管を伝って上昇,五つのチャクラを経て頭頂のサハスラーラ(千弁の蓮華より成る)に至るとされる。…
…さらに,タントリズムの修行者は,解脱だけでなく,ほぼ同じ修行過程によって得られる超能力(神通)の獲得をも目標とした。 タントリズムにはさまざまな教義があるが,その中でも最も注目すべきは,シャクティと呼ばれる性力である。これは,宇宙のいっさいを発動せしめる根源的な女性原理であり,人間を輪廻に縛りつける無明でもあり,しかもまた,悟り,解脱のもとでもあるとされる。…
…また,ふつうは,これに加えて二つのチャクラを数える。一つは,ムーラーダーラ・チャクラの直下にあり,三角形をしたアグニ・チャクラagni‐cakraで,ここには,シバ神妃と同一視されるシャクティśakti(性力)が,三重半のとぐろを巻いたクンダリニーkuṇḍalinīという名の蛇の形をして住まっているという。このクンダリニーは,ある意味では,生命の本体(ジーバートマンjīvātman)でもある。…
…ヒンドゥー教の一宗派ナート派が伝えてきたヨーガで,13世紀ころの北インドの聖者ゴーラクナート(ゴーラクシャナータ)が開祖であると伝えられる。シバ派のタントリズム(タントラ)の教義にのっとり,気息という一種の生命エネルギーを利用し,クンダリニーという蛇の形をとって脊椎の最下部に潜んでいる性力(シャクティ)を覚醒させ,エネルギーの溜り場であるいくつかのチャクラを経由させながら脊椎沿いに上昇させることを目ざす。このため,このヨーガは〈クンダリニー・ヨーガ〉と呼ばれることもある。…
…大部分の宗派はビシュヌ派とシバ派の二つのグループに分けられる。今一つの重要なグループとしてシャクティ派(性力派)があるが,これもいわばシバ派の特殊な発展と考えられる。 (1)ビシュヌ派はビシュヌ神を主神とし,神への信愛(バクティ)を強調する。…
…手や指のポーズ),立・座などの姿勢,各種の衣服や装身具なども神名を判定する決め手となる。肉体の力,とくに性的な力(シャクティ)を神的なものとする考え方は,神妃の観念を発達させ,男神に特定の神妃を配するようになった。女神像,ことに官能的な像容をとるものが多く,男女の性的結合を示す像(ミトゥナ)も作られたのはこのことによる。…
※「シャクティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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