ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュルティ」の意味・わかりやすい解説
シュルティ
śruti
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…この4ベーダ本集にはおのおのこれに含まれる賛歌祭詞の適用法とその起源,目的,語義などを説明した散文の神学的文献ブラーフマナが付随し,さらにこれを補足して祭式の神秘的意義を説き,特に森林において伝授される秘法を集めたアーラニヤカ(森林書),梵我一如の要諦を説く哲学的文献ウパニシャッド(奥義書)が付随している。古来インドでは,上述のベーダ聖典に関する知識は,聖賢が神の啓示によって感得したものと考えてシュルティ(天啓文学)と呼ばれ,これに対し祭式施行に必要な補助的知識は,師伝口授によるものとしてスムリティ(聖伝文学)と呼ばれる。このベーダ祭式の補助学として発達した6種のベーダーンガ(ベーダ支分)は,音声,祭式,文法,語源,韻律,天文から成り,スートラと呼ぶきわめて簡潔な文章で綴られている。…
…ベーダ以来のバラモン至上主義を反映して,バラモンすなわち祭官階級の利害を最重要視した規定の多いことが特徴としてあげられる。 〈ダルマ・シャーストラ〉の法源としては,ダルマ・スートラから継承したベーダ聖典の天啓〈シュルティśruti〉およびベーダに精通した人々による伝承〈スムリティsmṛti〉がまず第一にあげられるが,その他に有徳者の慣習〈シシュターチャーラśiṣṭācāra〉や地方,階級,家系の内部でそれぞれに成立した慣習法〈デーシャ・ジャーティ・クラ・ダルマdeśa‐jāti‐kula‐dharma〉を法源としてあげる文献も多い。 〈ダルマ・シャーストラ〉は,上述のとおり実際的な強制力をもった法令集ではなかったが,バラモン教およびそれから発展したヒンドゥー教の社会の中で,民衆の生活の規範として長期にわたり尊重された。…
…つまり,バラモン教とはベーダの宗教であるといってさしつかえない。 バラモン教は,《リグ・ベーダ》《サーマ・ベーダ》《ヤジュル・ベーダ》《アタルバ・ベーダ》の4ベーダ,およびそれに付随するブラーフマナ,アーラニヤカ,ウパニシャッドを天啓聖典(シュルティ)とみなし,それを絶対の権威として仰ぐ。そして,主として,そこに規定されている祭式を忠実に実行し,現世でのさまざまな願望,また究極的には死してのちの生天を実現しようとする。…
…それらの多くは歴史とともに湮滅(いんめつ)し,現在まで伝えられているのはそのごく小部分にすぎないが,それでもなお複雑な文献組織を呈している。バラモン教においては,〈ベーダ〉は人間の手になるものではなく,神の啓示を聖仙(リシṛṣi)が神秘的霊感として感得したものと考えられ,〈シュルティśruti(天啓)〉と呼ばれる。これに対して,聖仙が自ら叙述したものとされる文献群として〈スムリティsmṛti(聖伝)〉があり,さまざまな種類の文献を含むが,〈ベーダ〉に関連したものとしてとくに重要であるのが〈ベーダーンガvedāṅga〉である。…
※「シュルティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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