ジュズコケムシ(読み)じゅずこけむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュズコケムシ」の意味・わかりやすい解説

ジュズコケムシ
じゅずこけむし / 数珠苔虫
[学] Barentsia benedeni

曲形(きょくけい)動物門足胞目バレントシア科に属する海産小動物。日本各地のほか、世界的に広く分布し、汽水域にすむ。体長約5ミリメートルであるが、ときに8ミリメートルぐらいにもなる。体は走根とよばれる器官個体が連なって群体を形成し、岩石、貝類、海藻などさまざまなものに着生する。体は萼(がく)部、柄部、走根からなり、萼部は透明で椀(わん)形、その上縁には15~22本の触手の冠がある。冠の中央部に口があり、微小生物を摂食する。走根から直立する柄部は5、6個の筋肉節と、細いクチクラ部からなり、それが交互に並んで数珠(じゅず)状をなしている。各筋肉節には走根を生ずる能力があり、そのために群体はしばしば絡まった状態になる。体の欠損部はよく再生する。刺激を受けると筋肉節がよく動き、柄部は容易に屈曲する。走根の先端に冬芽をつくって休眠し、繁殖は有性生殖のほかに走根の先端で無性的に増殖する。

[紺野一碩]

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世界大百科事典(旧版)内のジュズコケムシの言及

【曲形動物】より

スズコケムシBarentsia discreta(イラスト)は日本各地でごくふつうに見られる種類である。ジュズコケムシB.benedeniは柄に5~6個の筋肉節をもっている。アジモスズコケムシB.laxaは8~10月ごろに東北地方のアジモ(アマモ)の葉の上によく成育する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」