チューリンゲン(民族)(読み)ちゅーりんげん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューリンゲン(民族)」の意味・わかりやすい解説

チューリンゲン(民族)
ちゅーりんげん

民族大移動期に形成されたゲルマン系の部族集団。ヘルムンドーレル人の一部に、ユトランド半島から南下したアンゲル人、ウァルネン人が混合して、現在のチューリンゲンThüringen地方で形成されたと思われる。5世紀には、ウェラ川とエルベ川に挟まれる中部ドイツに広がり、6世紀初頭には王国を形成し、東ゴート国王テオドリックと同盟を結び、当時の国際政治のうえで重要な役割を演じたが、フランク王国の勢力が東方に拡大してくると、両者の間に抗争が起こり、フランク分国王テウデリヒはザクセン人と結んでチューリンゲン王国を滅ぼし、ウンストルート以北はザクセン人に割譲され、残りはフランク王国に併合された。チューリンゲン人は独自の部族法典をもったが、部族としての重要性をしだいに失い、カロリング時代末期、ドイツ王国の初期においても、独自の部族大公領を形成することはなかった。

[平城照介]

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