日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューヨーク市立大学」の意味・わかりやすい解説
ニューヨーク市立大学
にゅーよーくしりつだいがく
The City University of New York
アメリカ合衆国ニューヨーク市により設置された大学、短期大学、大学院を統合した公立高等教育機関群の総称。ニューヨーク州立大学群(SUNY(スーニー))に対応して、CUNY(クーニー)と略称される。1961年の州の立法化に伴い、市内の伝統のあるシティ・カレッジCity College(1847創設)やハンター・カレッジHunter College(1870創設)などの四年制大学と、短期大学を統合して制度化された。2003年現在、四年制大学(シニア・カレッジ)11校、短期大学(コミュニティ・カレッジ)6校、法科大学、医科大学などを包摂する公立高等教育システムを形成する。また、通信講座や週末講座など多様なプログラムを提供している。市民に開かれた大学を目ざして、当初からの授業料無償の伝統を維持し、1969年から非選抜入学政策(オープン・アドミッションopen admission)を取り入れたが、ニューヨーク市の財政破綻(はたん)により授業料無償主義は放棄され、経営も州財源に大幅に依存し、州の公立高等教育制度のなかに組み入れられている。常勤教員数約6000人、総学生数約45万人、そのうち約24万人は継続教育continuing education(義務教育後の人のための多様な教育)の受講者である。アメリカで最大の都市型大学である。
[喜多村和之・杉谷祐美子]