コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ヨーロッパ司法裁判所 ヨーロッパシホウサイバンショ

デジタル大辞泉の解説

ヨーロッパ‐しほうさいばんしょ〔‐シハフサイバンシヨ〕【ヨーロッパ司法裁判所】

欧州司法裁判所

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヨーロッパ司法裁判所
よーろっぱしほうさいばんしょ
European Court of Justice

ヨーロッパ連合(EU)の基本条約や法令の適用や判断を所管し、これらの適用や解釈がEU域内において加盟国に平等に適用されることを目的として、EUに設置されている司法機関。EUにはこのヨーロッパ司法裁判所のほかに司法機関として一般裁判所(General Court)と専門裁判所(Specialized Court)として職員紛争審判所(Civil Service Tribunal)も併設されている。そのため、ヨーロッパ司法裁判所、一般裁判所、専門裁判所を、EU司法裁判所(ECの時代にはCourt of Justice of the European Communitiesと表記され、現在は、Court of Justice of the European Unionと表記されている)と総称する。所在地はルクセンブルク。[加藤哲夫]

ヨーロッパ司法裁判所の役割

EUに加盟している各国が制定する国内法と、EUが制定するEU法との適用や解釈の整合性の審査を、EU加盟国の各司法機関にゆだねるということになると、その統一性が保障されない状況が生じる。そのため、当初の基本条約であるヨーロッパ共同体設立条約に基づき、ヨーロッパ司法裁判所にEU法の適用・解釈にかかわる権限が専属的に与えられ、EU域内におけるEU法の統一的な執行が確保されている。具体的には、以下のとおりである。
(1)ヨーロッパ司法裁判所はEU法の下での事件においてEU加盟国のすべての裁判所と協力しつつ、EUが制定した法令の有効かつ統一的な適用を保障するため、また、多様な解釈を防止するために、EU加盟国の裁判所の申立てに基づき、EU加盟国の制定した法令がEU法に適合しているかどうかを確定する権限を有する。
(2)ヨーロッパ司法裁判所は、EU加盟国がEU法の下での義務を履行したか否かを判断する権限を有する。このようにヨーロッパ司法裁判所が判断するには、まず、EU委員会(ヨーロッパ委員会)がその加盟国に対してヨーロッパ司法裁判所に付託される申立てに対して応答する機会を与えるための予備手続を実施する。この予備手続を通じてもそのEU加盟国の義務の不履行が是正されない場合には、EU委員会またはそのEU加盟国はEU法違反の有無を原因とする訴訟をヨーロッパ司法裁判所に対して提起することができる。
(3)EU加盟国は、EUの機関などがとった準則、指令などの取消しを求めることができるが、ヨーロッパ司法裁判所は、EU加盟国がEU議会、機関などを相手にしたこのような取消訴訟あるいはEUの機関が他のEUの機関を相手として提起した訴訟を審理する専属的な管轄権を有する。
(4)ヨーロッパ司法裁判所は一般裁判所の判決などに対する上訴裁判所としての役割をもち、一般裁判所の判決または決定に対する法律上の争点に関する控訴を審理する権限を有している。また、専門裁判所のした判決に対する控訴が一般裁判所になされた場合に、EU司法裁判所法議定書に規定されるところにより、ヨーロッパ司法裁判所はその一般裁判所の判決を再審理することができる。[加藤哲夫]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

今日のキーワード

アウフヘーベン

ヘーゲル弁証法の基本概念の一。あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし保存すること。止揚。揚棄。→アン‐ウント‐フュール‐ジッヒ →弁証法...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android