欧州司法裁判所(読み)おうしゅうしほうさいばんしょ(英語表記)European Court of Justice

知恵蔵の解説

欧州司法裁判所

欧州連合(EU)諸条約の解釈・適用について一切の司法問題を取り扱う最高司法機関。所在地ルクセンブルク。1952年に欧州石炭鉄鋼共同体司法裁判所として創立されたのが始まり。2004年、特別裁判所として欧州連合公務員裁判所の併設が合意された。先行判決制度を通じて、EU法との整合性、解釈等について各種法律問題に関する鑑定や助言を行う権限を有する。競争法関係を含め、欧州委員会の決定を審査するとともに、加盟国の国内裁判所の付託を受けて、EU法の解釈について先行的判決を行う。裁判では、欧州委員会の競争法解釈による特定企業の排除決定への不服審査等がたびたび出ている。日本企業に対する排除決定不服提訴も多い。ただ、欧州憲法条約下において、共通外交・安全保障政策(CFSP)、欧州共通防衛政策(ESDP)の分野については、管轄権を有しないこととなっている。欧州人権条約上の審理を行う欧州人権裁判所とは区別される。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

おうしゅう‐しほうさいばんしょ〔オウシウシハフサイバンシヨ〕【欧州司法裁判所】

EU(欧州連合)の主要機関の一。EUの諸条約と法律を調整するほか、各加盟国において条約・法律が履行されているかどうかの監視を行う。所在地はルクセンブルク。欧州裁判所EU司法裁判所ヨーロッパ司法裁判所

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百科事典マイペディアの解説

欧州司法裁判所【おうしゅうしほうさいばんしょ】

EU(ヨーロッパ連合)の最高司法機関。ルクセンブルクに所在。1952年に欧州石炭鉄鋼共同体司法裁判所として創立されたのが始まり。リスボン条約で正式名称は欧州連合裁判所となった。EUの基本条約(リスボン条約)や法との整合性,解釈等について審査や助言を行う権限を持つ。欧州議会や欧州委員会の決定(立法機能)を審査するとともに,加盟国の国内裁判所の付託を受けて,EU法の解釈について先行的判決を行う。加盟国が基本条約などに定められている義務を履行しない場合には,欧州委員会の請求を受けて違法状態の認定を行ったり,違法とされた当該国が対応しないときには,高額の罰金を科したりすることができる。EUでは警察・刑事司法協力はあくまでも政府間協力の枠組みであり,欧州司法裁判所による法令の適用は一部の分野に制限されている。現在の基本条約であるリスボン条約でも警察・司法分野の段階的統合がうたわれ,司法内務協力分野での多数決が認められているが,政府間主義は一部で残ることになっている。また,欧州人権条約上の審理を行う欧州人権裁判所とは区別される。

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