…仏果を得ることは文字や学解によるのではなく,字(真言)・印(印相)・形(曼陀羅)などで表現され,如来の言葉である真言陀羅尼を念誦し,観修することで即身成仏できると説く空海の教えは,彼の南都諸宗に対する妥協的態度や加持祈禱の容認と相まって,貴族や地方の豪族や民衆のなかに急速にひろまった。法相宗学を主流とした南都仏教が,成仏の可否は人間の素質によるという〈五性各別〉を説いたのに対して,天台・真言の平安仏教は〈一切皆成〉,すなわち素質や能力に関係なく,すべての人間が成仏できるとの一乗主義を説き,これも平安仏教の新しい特色だった。こうして,平安時代,化外の地域とされた東北地方まで天台・真言の僧が布教の足跡をのばし,仏教はほぼ日本全域にひろまった。…
※「一切皆成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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