衆生(読み)シュジョウ

デジタル大辞泉 「衆生」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐じょう〔‐ジヤウ〕【衆生】

《〈梵〉sattvaの訳。音写は薩埵》仏語。生命のあるものすべて。特に、人間をいう。有情うじょう
[類語]動物生き物生類しょうるい有情うじょう生きとし生けるもの生物有情物・有機体動植物微生物

す‐じょう〔‐ジヤウ〕【衆生】

《「す」は「しゅ」の直音表記》「しゅじょう(衆生)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「衆生」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐じょう‥ジャウ【衆生】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] jantu, sattva などの訳語。生存するものの意 ) 仏語。迷いの世界にあるあらゆる生類。仏の救済の対象となるもの。いきとしいけるもの。有情(うじょう)群生。すじょう。しゅうせい。
    1. [初出の実例]「如来出世、演説諸法、教化衆生、令樹善葉」(出典:家伝(760頃)下)
    2. 「仏の御心に衆生のうき世を見給ふもかかる事にやと」(出典:俳諧・更科紀行(1688‐89))
    3. [その他の文献]〔法華経‐譬喩品〕

衆生の語誌

漢籍仏典以前に「衆生必死」〔礼記‐祭義〕、「幸能正生以正衆生」〔荘子‐徳充符〕などの例があり、これが訳語として採用されたもの。漢訳者は、梵語の sattva を「生命のあるもの」と解して「衆生」と訳したが、後には「こころのあるもの」と解して「有情」とも訳した。


す‐じょう‥ジャウ【衆生】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「す」は「しゅ」の直音表記 ) 仏語。迷いの世界にあるあらゆる生類。いきとしいけるもの。しゅじょう。
    1. [初出の実例]「国ほろびてもろもろのすじゃう、国土の人、穀につかれし時ありき」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)

しゅう‐せい【衆生】

  1. 〘 名詞 〙しゅじょう(衆生)

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改訂新版 世界大百科事典 「衆生」の意味・わかりやすい解説

衆生 (しゅじょう)

サンスクリットサットバsattva,ジャントゥjantu,ジャガットjagat,バフジャナbahujanaなどの訳。とくにサットバの訳語として用いられることが多い。サットバとは存在するもの,また心識をもつものの意で,有情(うじよう),含識(がんじき)などとも訳される。古くは衆生と漢訳し,唐代の玄奘以後のいわゆる新訳では有情と訳されている。またいのちあるもの,存生するもの,いのちをもって存在するもの,生きとし生けるもの,一切のいきもの,一切の人類や動物,とくに人間,人々,もろびとなどというように,さまざまな意味がある。仏教では救済の対象を一切の人間,いのちあるすべてのものに置いているから,衆生の語は古今を問わず,仏教圏ではつねに用いられている。衆生を救済して彼岸にわたすことを〈衆生済度(さいど)〉という。造像銘文や写経などの跋文に,それら宗教的作善(さぜん)の功徳(くどく)をめぐらしたいものとして〈法界衆生(全世界,あらゆる場所の衆生)〉〈法界含識〉〈含霊之類〉などの語が記されている。また仏教の万人主義の立場が〈願共諸衆生〉(願わくばもろもろの衆生とともに)という語句で偈頌(げじゆ)などに示されている。なお衆生の読みは,南都では〈しゅしょう〉,北嶺では〈しゅじょう〉と読み,真言宗の場合のように漢音で読誦するときは〈しゅせい〉と読む。また有情は読誦のさい〈ゆうせい〉と発音する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「衆生」の意味・わかりやすい解説

衆生
しゅじょう

「命ある者」「心をもつ者」の意。サンスクリット語サットバsattvaの訳語。有情(うじょう)とも訳す。インドでは仏教も他の諸宗教も、人と動物との間に根本的な区別を設けず、業(ごう)(カルマ)によって種々に生まれ変わる(輪廻(りんね))と説く。仏教では地獄・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・阿修羅(あしゅら)・人・天の六道を輪廻転生すると説く。通常は輪廻に迷う存在を衆生とみなすが、広義には輪廻から脱(ぬ)け出した(解脱(げだつ))仏・菩薩(ぼさつ)も衆生に含める。また、竜、羅刹(らせつ)、夜叉(やしゃ)、乾達婆(けんだつば)、緊那羅(きんなら)、摩呼洛迦(まごらか)など神話上の異類や、地獄の獄卒(ごくそつ)などを衆生とみなす場合もある。

[小川 宏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「衆生」の意味・わかりやすい解説

衆生
しゅじょう
sattva

仏教用語。薩 埵と音写し,有情とも訳される。広義には,仏陀や求道者 (→菩薩 ) をも含めた,すべての生き物の意味。狭義には,迷いの状態にある生き物をさす。特に人間をさしていう場合が多い。

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普及版 字通 「衆生」の読み・字形・画数・意味

【衆生】しゆうせい

生物。

字通「衆」の項目を見る

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