化学辞典 第2版 「二酸化鉛電極」の解説
二酸化鉛電極
ニサンカナマリデンキョク
lead dioxide electrode
工業電解に用いる不溶性陽極の一つで,主として過塩素酸の電解に用いられている.二酸化鉛PbO2は,鉄あるいはニッケル電極を用い硝酸鉛水溶液を電解液とし,アノード酸化により生成するが,硬く,耐摩耗性で強酸にも侵されず,比抵抗は40~50×10-6 Ω cm2 で,水銀,黒鉛より電気伝導性がよい.PbO2には,α(正方晶)とβ(斜方晶)の2種類の結晶形があり,上のようにつくられたものは主としてβ形である.白金と同程度の酸素過電圧をもち,塩素酸製造においても黒鉛,磁性酸化鉄電極よりすぐれているといわれている.欠点としては,カソードにすると鉛に還元され,酸化剤存在下で塩酸に侵されること,成形加工が困難なことがあげられる.PbO2で被覆したTi電極は高い電気伝導性を示す.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報