過塩素酸(読み)かえんそさん(英語表記)perchloric acid

翻訳|perchloric acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過塩素酸
かえんそさん
perchloric acid

化学式 HClO4過塩素酸カリウム硫酸を作用させて製造する。無水の酸は無色,揮発性で,非常に吸湿性の強い液体比重 1.76 (22℃) 。大気圧下で蒸留すると分解し,ときに爆発することがある。融点-112℃。水と混ざると多量の熱を発生する。無水物は自然に分解,爆発するので,60~70%水溶液 (比重 1.5~1.6) として市販される。水溶液も腐食力が強く,有機物などに触れると爆発することがある。酸のうちで最も強い酸である。分析化学では酸化剤として,またカリウムとナトリウムの分離試薬として利用される。塩類爆薬として用いられる。皮膚,粘膜をおかし,危険である。

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世界大百科事典 第2版の解説

かえんそさん【過塩素酸 perchloric acid】

化学式HClO4。発煙性で比較的粘性の低い無色,無臭の液体。融点は-112℃,沸点は55mmHgで39℃,1気圧では分解を伴うが,130℃程度と推定されている。比重1.76(22℃)。無水物の状態で得られる唯一の塩素のオキソ酸である。過塩素酸カリウムに濃硫酸を加えて減圧蒸留すると得られる。過塩素酸アンモニウムに硝酸と塩酸の混合物を作用させるか,過塩素酸カリウム水溶液にヘキサフルオロケイ酸H2[SiF6]を加え,生じたヘキサフルオロケイ酸カリウムをろ(濾)別すれば塩素酸水溶液が得られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過塩素酸
かえんそさん
perchloric acid

塩素のオキソ酸の一つ。過塩素酸塩に濃硫酸を加え減圧蒸留して水溶液が得られる。濃水溶液を多量の濃硫酸と加熱蒸留して100%のものが得られる。純粋なものは無色発煙性の液体。強い酸化力があり、不安定で、加熱により、または有機物が存在すると爆発する。
 水と激しく作用して一水和物HClO4H2O(融点50℃、沸点110℃)ほか各種の水和物をつくる。一水和物HClO4H2Oは実際には(H3O)+ClO4-のようなイオン結晶(融点50℃、沸点110℃)である。その水溶液はほとんど完全に電離し、塩素のオキソ酸中でもっとも強い酸である。希薄水溶液は安定で、塩素酸と異なり、亜鉛、ヨウ化水素、硫化水素、二酸化硫黄(いおう)によって還元されない。しかしチタン()イオンとは反応して塩化物に還元される。70%水溶液(比重1.678)、60%水溶液(比重1.533)、40%水溶液(比重1.204)が試薬として市販されている。[守永健一・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版の解説

過塩素酸
カエンソサン
perchloric acid

HClO4(100.46).過塩素酸カリウムに濃硫酸を加えて真空蒸留すると得られる.無水状態で単離できる唯一の塩素の酸素酸で,無色の流動発煙性の液体.密度1.768 g cm-3(22 ℃).融点-112 ℃,沸点7.5 kPa(56 Torr)で39 ℃.1 atm 下での蒸留では分解を伴う.無水物はきわめて分解しやすく,危険である.強い酸化力をもち有機物質とは爆発的に反応する.また,皮膚を腐食する.水に加えると発熱し,多くの水和物HClO4nH2O(n = 1,2,2.5,3,3.5)をつくる.市販品は60~70% 水溶液である.熱時濃厚水溶液では酸化力が非常に強いが,冷時希薄水溶液では弱く安定である.水溶液は強い酸で多くの金属と水素を発生して反応し,過塩素酸塩を生じる.電解浴,電解研磨,過塩素酸塩の製造,酸化剤として用いられるほか,分析化学で試料の溶解,カリウムの分離定量試薬として用いられる.過塩素酸一水和物を過塩素酸オキソニウムといい,その結晶は[H3O][ClO4]の構造となっている.吸湿性固体.融点50 ℃,沸点110 ℃.[CAS 7601-90-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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