水銀(読み)すいぎん(英語表記)mercury

  • みずかね〔みづ〕
  • みずがね
  • 水▽銀
  • 水銀 mercury

翻訳|mercury

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

元素記号 Hg ,原子番号 80,原子量 200.59。周期表 12亜鉛族元素の1つ。天然には自然水銀などが鉱石としてまれに採取されるが,主要鉱石は辰砂である。地殻の平均水銀含有量 0.08ppm,海水中には 0.03 μg/l 程度含まれる。単体は銀白色の重い液状の金属。比重 13.6,融点-38.87℃,沸点 356.58℃。鉄を除く多くの金属とアマルガムをつくる。沸点近くまで熱すると酸化水銀になる。硝酸,熱濃硫酸,王水に可溶。酸化数は1と2。水銀の蒸気圧は小さいが,長期間吸入すると危険。膨張率が大きく,広い温度範囲で一定であるから,温度計に用いられるほか気圧計水銀ランプ,電気スイッチ,鏡,水銀ポンプ,水銀塩の製造,触媒,鉱石からの金,銀の抽出,整流器,アマルガム,電極など,非常に広い用途がある。

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デジタル大辞泉の解説

亜鉛元素の一。常温液状である唯一の金属で、銀白色で重い。有毒。融点はセ氏零下38.86度、沸点はセ氏356.72度。主要鉱物は辰砂(しんしゃ)で、これを焼いて製する。多くの金属とアマルガムを作る。温度計・気圧計・水銀灯化学薬品などに使用。元素記号Hg 原子番号80。原子量200.6。みずがね。
《後世は「みずがね」とも》「すいぎん(水銀)」に同じ。
「節ごとに―の露すゑさせて」〈宇津保・国譲上〉

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百科事典マイペディアの解説

元素記号はHg。原子番号80,原子量200.592。融点−38.842℃,沸点356.58℃。金属元素の一つ。常温で液体である唯一の金属,銀白色。水に不溶。常温空気中で安定であるが,熱すると酸化物になる。塩酸,希硫酸と作用せず,熱濃硫酸,硝酸に可溶。多くの金属を溶かしてアマルガムをつくる。温度計,気圧計,医薬,水銀灯,食塩電解用の電極,金・銀採取(アマルガム法)などに使用。またアマルガム,朱,雷汞(らいこう)などの製造原料。蒸気は猛毒。主要鉱石は辰砂(しんしや)で,これを空気中で熱し,遊離した水銀を集めて冷却,凝縮させる。まれに遊離して産することもある。→水銀中毒
→関連項目海洋汚染海洋投棄規制条約バーゼル条約ヘルメス

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栄養・生化学辞典の解説

 原子番号80,原子量200.59,元素記号Hg,12族(旧IIb族)の元素.常温常圧で液体の金属.融点−38.87℃.沸点356.72℃.比重13.534(25℃).

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世界大百科事典 第2版の解説

周期表元素記号=Hg 原子番号=80原子量=200.59±3地殻中の存在度=0.08ppm(66位)安定核種存在比 196Hg=0.146%,198Hg=10.02%,199Hg=16.84%,200Hg=23.13%,201Hg=13.22%,202Hg=29.80%,204Hg=6.85%融点=-38.86℃ 沸点=356.66℃液体の比重=13.558(15℃)固体の比重=14.193(-38.87℃)水に対する溶解度=2.5×10-5g/l(25℃)四塩化炭素に対する溶解度=7.5×10-7mol/l(25℃)ベンゼンに対する溶解度=1.20×10-6mol/l(25℃)メチルアルコールに対する溶解度=7.8×10-8mol/l(25℃),1.80×10-6mol/l(63℃)電子配置=[Xe]4f145d106s2 おもな酸化数=I,II周期表第IIB族に属する金属元素。

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大辞林 第三版の解説

12 族(亜鉛族)元素の一。元素記号 Hg  原子番号80。原子量200.6。主鉱物は辰砂しんしや。常温で液体である唯一の金属。有毒。金・銀・スズなど多くの金属とアマルガムをつくる。鉄はアマルガムをつくらないため水銀の貯蔵容器に用いる。比重13.546(摂氏20度)。融点は摂氏マイナス38.842度。朱・アマルガムの製造、温度計・圧力計・水銀灯・理化学実験用などに用いられる。みずがね。
古くはみずかね
水銀すいぎん和名抄

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

周期表第12族に属し、亜鉛族元素の一つ。常温で液体である唯一の金属。[中原勝儼]

歴史

古代から知られていた重要な金属の一つで、中国、インドなどで古くから保存用その他として化合物が広く用いられており、紀元前1500年ごろのエジプトの墓中からも発見されている。辰砂(しんしゃ)HgSを焼いて水銀を取り出すことについては、前300年ごろローマのテオフラストスによって初めて確実で詳細な報告がなされており、6世紀の末ごろには金鉱石から金を抽出するのにすでに水銀が用いられたという記録がある。しかし、それよりはるかに古く、たとえばエジプトや中国、朝鮮その他の古墳の発掘品に、水銀アマルガムを用いて金めっきを行った形跡のあることがわかっており、水銀の使用が始められたのはきわめて古い時代のことであったと思われる。前漢のころの書『淮南子(えなんじ)』にはすでに「丹(たん)」の記載があり、3世紀の『博物証』には「丹砂を焼けば水銀を成す」という文章が残されている。日本でも『風土記(ふどき)』や『日本書紀』には水銀についての多くの記載が残されており、水銀採取に関係のある神社として古くからの丹生(にう)神社は各地に存在している。また、たとえば東大寺の大仏建立にはアマルガム法によるめっきが行われ、使用された錬金(ねりがね)1万0436両、水銀5万8602両という記載が残されている(『東大寺要録』)。すなわち、このときのアマルガム配合比は1対5.6である。
 水銀が液体であることと、多くの金属を溶かしアマルガムをつくることは、とくに錬金術師たちに注目されていた。すなわち、水銀はすべての金属の共通成分であり、水銀の含有量を変えることで、ある金属を他の金属に変えることもできるというように考えられていた。[中原勝儼]

命名の由来

水銀はラテン語でhydrargyrumというが、これは、ギリシア語で水を意味するhydrと銀を意味するargyrosからつくられたもので、原子記号のHgもこれからとったものである。また、ラテン語にはもう一つのmercuriumという名称があるが、これは中世ヨーロッパでは、金・銀・水銀・銅・鉄・スズ・鉛の7種を、太陽系の星、太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星に対応させていたので、水銀は水星を意味するmercuryに関係するものとして命名されたもので、英語およびフランス語はこれからきている。中国ではきわめて古くから水銀と称しており、日本では水銀(みずがね)とよんでいた。汞(こう)は水銀と同義語である。[中原勝儼]

存在

遊離状態ではまれにしか産しない(遊離金属は古代に多く取り出されてしまったものと考えられている)。主要鉱石は辰砂である。世界的な産地はスペインおよびアメリカで、とくにスペインのアルマデンは辰砂の産地としてローマ時代から知られている。日本では古くはかなり広く産していたが、現在ではきわめてわずか(たとえば北海道、奈良県など)に産するのみで、ほとんど輸入に頼っている。[中原勝儼]

製法

水銀およびその鉱物は、比重が大きいので重力選鉱などで濃縮し、辰砂などの微粉を浮選によって分離する。ついで鉱石を空気中で熱し、遊離した水銀蒸気を冷却室に導いて凝縮させてつくる。
  HgS+O2―→Hg+SO2
 通常は不純物を多く含んでいるので、蒸留その他によって精製する。
 実験室で用いられる水銀を精製するには、硫酸酸性の硫酸鉄()水溶液で水銀を覆い、空気を吹き込み、不純物を酸化すると表面に浮くので、これを分離する。ついで、希硝酸または硝酸酸性硝酸水銀溶液中で繰り返し滴下して洗い、減圧蒸留する。[中原勝儼]

性質

銀白色の金属光沢をもつ重い液体。固体ではスズ白色の金属光沢となり、展性、延性も大きく、ナイフで切断できるようになる。比重は13.5462、蒸気圧は1.20×10-3mmHg(いずれも測定温度20℃の場合)である。膨張率は大きく、しかもかなり広い温度範囲で一定である。鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウムなどを除いた多くの金属とアマルガムをつくるので、貯蔵には普通、鉄の容器が用いられる。塩酸には溶けないが、硝酸に溶けて硝酸水銀となる。空気中では、乾燥していれば安定であるが、300℃以上では酸化水銀となり、400℃を超えると分解してふたたび水銀となる。湿った空気中では表面が酸化されて灰色の被膜を生ずる。また硫黄(いおう)とこすると、たやすく硫化水銀を生ずる。[中原勝儼]

用途

金属の状態で、温度計、気圧計や多くの理化学器械、水銀灯、整流器、真空ポンプなどその用途は広い。工業的には食塩水の電解によるカ性ソーダ製造に用いられたことがあり(水銀による環境汚染の原因となるとして使用されなくなった)、各種薬品製造にも用いられる。そのほか農薬、火薬、歯科用アマルガムとして用いられる。[中原勝儼]

注意

液体の水銀は、空気中に放置すると蒸気としてわずかずつ拡散する。これをわずかずつでも長期間吸入すると中毒症状を呈する。水銀の化合物にも有毒なものが多く、たとえば昇汞(しょうこう)〔塩化水銀()〕は致死量0.6グラムとされており、また有機水銀による中毒は、水俣(みなまた)病をはじめ公害問題として知られている。[中原勝儼]
『喜田村正次・近藤雅臣他著『水銀』(1976・講談社) ▽谷川健一編『金属の文化誌』(1991・三一書房) ▽WHO著、国立水俣病研究センター訳『無機水銀』(1992・日本公衆衛生協会) ▽西村肇・岡本達明著『水俣病の科学』(2001・日本評論社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 亜鉛族元素の一つ。元素記号 Hg 原子番号八〇。原子量二〇〇・五九。常温で液状の唯一の金属。銀白色の金属光沢をもつ。辰砂ll>(しんしゃ)などに含まれて存在し、辰砂からの蒸留製錬で得られる。湿気中で酸化されて表面に暗灰色の皮膜をつくる。広い温度範囲でほぼ一定の大きな体膨張率をもつ。有毒。温度計・気圧計・真空ポンプなどの理科学機械、水銀灯・蛍光灯・整流器・電池などの電気機械、歯科用アマルガムなどの医薬品、朱、爆薬の製造など広く用いられる。みずかね。
※全九集(1566頃)二「妊者に用ざる薬種 雄黄、雌黄、水銀、鉛錫」
※尋常小学読本(明治三六年)(1903)七「寒暖計は〈略〉ガラスのくだに水銀(スイギン)か、色をつけたアルコールかを入れて」 〔史記‐始皇本紀〕

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化学辞典 第2版の解説

Hg.原子番号80の元素.周期表12族典型元素.原子量200.59(2).質量数196(0.15%),198(9.97%),199(16.87%),200(23.10%),201(13.18%),202(29.86%),204(6.87%)の7種の安定同位体と,171~210に及ぶ10数種の放射性同位体が知られている.元素記号Hgはラテン語のhydrargyrumからとられ,これはまた,ギリシア語のυδρ(水)+αργυρós(銀)から導かれている.宇田川榕菴は天保8年(1837年)に出版した「舎密開宗」で,これを音訳して喜度刺爾義律母(ヒードラルギーリュム)としている.
紀元前300年ごろ,すでに辰(しん)砂HgSから水銀の分離がなされている.わが国では,文武天皇2年(698年),伊勢などより辰砂が献ぜられたことが記されている.また,奈良の大仏のめっきに多量の水銀が用いられたことは有名である.天然には,液滴としても産出するが,主たる原料は辰砂である.埋蔵量1位はスペインで世界の埋蔵量の40% 弱を占めるが,環境規制の強化と需要の減退により2003年に生産を停止した.アメリカはネバダ州の鉱山が1992年に閉山,日本は世界的にも珍しい自然水銀を産出していた北海道イトムカ鉱山が1972年に閉山して,現在は生産していない.辰砂を空気中で400~600 ℃ に熱し,生じた水銀の蒸気を冷却すると凝縮する.銀白色で常温で唯一の液体金属.融点-38.842 ℃(セシウム融点28.45 ℃,ガリウム融点29.78 ℃),沸点356.58 ℃.水銀の蒸気圧は高く,温度の上昇とともに急激に増大する.水銀の蒸気を吸うと神経障害を起こす.20 ℃ の空気中の飽和量は大気汚染防止法指針値をはるかに超えている.表面張力485.5 dyn cm-1(25 ℃ 自己蒸気).粘性率(×10-3 g cm-1 s-1)18.5(-20 ℃),16.8(0 ℃),15.5(20 ℃),13.9(50 ℃),12.1(100 ℃).定圧モル熱容量27.98 J K-1 mol-1(25 ℃).線膨張率//c軸0.470×10-4 K-1.⊥c軸0.375×10-4 K-1(-188~-79 ℃).熱伝導率8.34 W m-1 K-1(27 ℃).融解熱2.33 kJ mol-1(-39 ℃).蒸発熱58.1 kJ mol-1(357 ℃).電気抵抗率98.4×10-6 Ω cm(50 ℃).標準電極電位(Hg2+/Hg)0.85 V.第一イオン化エネルギー1006.9 kJ mol-1(10.437 eV).酸化数1,2.乾燥した空気中では酸化されないが,湿気の存在下では容易に酸化される.水に対する溶解度は0.02 mg L-1(20 ℃)で金属としていちじるしく大きい.水銀の化合物は水銀(Ⅰ)化合物Hg2X2,水銀(Ⅱ)化合物HgX2がある.硫黄およびハロゲンとは直接反応する.塩酸,希硫酸に不溶,硝酸,熱硫酸に可溶.
白金,鉄,マンガン,コバルト,ニッケルなどを除く金属を溶かしてアマルガムをつくる.わが国では,水銀の使用は水俣病の発生を契機に規制が強化され,従来最大であったカセイソーダ,塩素製造の水銀電極電解法が隔膜法,イオン交換膜電解法に切り換えられ,塩化ビニル製造用触媒としての使用もエチレン原料の製法に転換,稲作用水銀系農薬も昭和48年製造が禁止され,この方面の需要はなくなった.残っている用途は,電気機器(蛍光灯など),計量器(体温計,温度計,血圧計など),電池材料である.極力使用量を減らす努力が行われており,水銀電池は1995年末に生産が中止された.乾電池については1992年に水銀0使用が達成され,酸化銀電池などでも水銀不使用のものが商品化された.液晶ディスプレイ・バックライト用を含む蛍光灯の水銀封入量も激減した.電池や蛍光灯など水銀使用廃棄物は,2003年から資源有効利用促進法によりリサイクルが実施されており,イトムカで行われているリサイクル事業が,わが国唯一の水銀供給源となっている.EU(欧州連合)が2006年7月1日に施行した有害物質規制RoHS指令によれば,EU内で販売される電気電子機器には,水銀の含有は,小型蛍光灯など一部の例外を除いて許されない.毒物指定.水銀および水銀化合物としてPRTR法・第一種化学物質指定.経口,吸入,作業環境,生態毒性すべてクラス1,発がん性2で危険性が高い.水道法水道水質基準 水銀として0.0005 mg L-1 以下.水質汚濁法排水基準 水銀として0.005 mg L-1 以下.有害大気汚染物質指針値0.00004 mg m-3 以下.[CAS 7439-97-6][別用語参照]水銀化合物

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世界大百科事典内の水銀の言及

【ヤマアイ】より

…亜熱帯~暖温帯の木陰に群生するトウダイグサ科の常緑多年草(イラスト)。本州~沖縄,中国,朝鮮,台湾,インドシナに分布する。太平洋側の北限は関東地方だが,日本海側では青森県まで北上する。白い地下茎が長くはい,栄養繁殖を行う。茎は直立し,高さ30~50cm。葉は対生し,長楕円披針形~卵状楕円形で,鋸歯があり,葉身は長さ10cm内外。濃緑色を呈し,質は薄く,粗毛がある。雌雄異株。3~5月ころ,葉腋(ようえき)に穂状花序をつけ,緑色の小さな単性花が数個ずつ集まってつく。…

【硫黄】より

…近代において日本はアメリカに次いでイタリアとともに世界の硫黄主産地で,古来の九重山,硫黄島のほか,岩手県松尾鉱山,北海道幌別鉱山などが主産地となった。【小葉田 淳】
[シンボリズム]
 錬金術の体系の中に,古代ギリシア以来の四大(地,水,火,風),四つの質(冷,熱,乾,湿)と並んで,硫黄,水銀,塩の〈三原質〉を取り入れるのは,遠くアラビアの錬金術師ゲーベル(ジャービル・ブン・ハイヤーン)に始まり,R.ベーコン,B.ウァレンティヌスらに継承されたが,この三分法を普及させたのはパラケルススである。三つとも,同名の化学物質をさすというより,物質のある種の特性を表す象徴的用語として,錬金術のシンボリズムに組み込まれた。…

【伊勢国】より

…町自治体の中には信長配下によって一時占領されたところもあった。 最後に中世における伊勢の産業としては伊勢湾の水産,沿岸の製塩,鎌倉末期より盛んな伊勢茶のほか,とくに著名なものとして多気郡丹生(にう)の水銀と射和(いざわ)の白粉があげられる。水銀は〈みずがね〉として古来有名で,すでに713年(和銅6)伊勢水銀が献じられたことが記録に残っている。…

【液体温度計】より

…容器をガラスで作ったものは,古く17世紀に試作されたのち,さまざまに改良,変形されてきたが,今日もガラス製温度計,またはガラス温度計の名のもとに広く利用されている。また,感温液としてアルコール類(実は,多くの場合石油),または水銀を用いたものが広く普及しているので,それぞれアルコール温度計,水銀温度計と呼ばれる。
[構造]
 ガラス製温度計の構造は,単一の肉厚の管で作られたもの(棒状)と毛細管と目盛板とを支持用の管の中に納めたもの(二重管)とに大別される(図1)ほか,簡便な板付温度計,工業計測用の保護枠入温度計などの個別的な呼名で分類されることもある。…

【海洋汚染】より

…油は時間の経過とともに海水を含み,海底に沈積する一方,廃油ボールを形成して海面に漂う。(2)重金属汚染 沿岸に放出された工場廃液中の有機水銀が原因となって,水俣病(みなまたびよう)の惨事が九州の水俣湾の周辺で続出したことはよく知られている。一般に,海水中に含まれている水銀などの重金属類は,プランクトンを経て魚に摂取されていく間に,その濃度が高くなるものが多い。…

【塩】より

…また少量であったが金の精錬,ガラスの製造,治療剤にも用いられ,ときには油灯の炎を黄色にし,もっと明るい快適な照明を行うために使用され,またその防腐性を利用してミイラをつくるときにも死体を塩水に浸していた。【加茂 儀一】
[塩の象徴]
 錬金術における硫黄・水銀・塩の〈三原質〉のうち,塩は硫黄と水銀の中間項として,両者を媒介する運動と考えられ,それを通じて水銀(質料)が硫黄(形相)に結びつくとされる。そのため,硫黄を王,水銀を王妃で表す婚姻図において,塩を僧侶の姿で描き,両者を結びつける役割をもつことを示す場合もあった(B.ウァレンティヌス《哲学の十二の鍵》)。…

【四大】より

…このようにして中世ヨーロッパの錬金術は12世紀からおよそ17世紀まで陰に陽に栄えることになった。しかしその際,四元素よりも変成の妙を発揮する水銀が物質変換の中心的存在となった。また物質それ自体は生物と同様に増成するという観点から,男性的原理と女性的原理の拮抗・融和によって物質の変化をとらえるという考えが定着し,水銀が女性原理を,硫黄が男性原理を代表するという硫黄―水銀の原素論がアラビア世界を通じて登場した。…

【水銀座】より

…中世,伊勢国飯高郡丹生(現,三重県多気郡勢和村)産出水銀の特権的な取引に従事した商人団。水銀とその原鉱辰砂は医薬品用,顔料白粉原料等として用途が広く,すでに文武・元明天皇のころから伊勢産水銀の貢納が行われていた。…

【月】より

…一般に,月は太陽の能動性を受けいれてはらむ多産な受動性を表すとされるが,錬金術でも月は女性的原理を表す。男性的原理としての太陽が,硫黄,不揮発性物質,熱,乾を象徴するのと対照的に,月は水銀,揮発性物質,冷,湿を象徴するのである。物質の結合と変容が,王=太陽=硫黄と,王妃=月=水銀との婚姻・交合の図で表されたのは,この合一から生ずる両性具有的物質が探求されたことを示している。…

【土星】より

…錬金術のシンボル解釈では,土星=サトゥルヌスは鉛に相当する。錬金工程で,水銀に鉛を作用させてその揮発性を押さえ,凝固させる必要があるとされるが,この場合サトゥルヌスの鎌は,水銀=ヘルメス(メルクリウス)の軽快な足をなぎ払うものという意味を帯びるわけである。これが明示的な意味であるが,暗示的には,土星は準備過程にある〈第一質料〉が示す黒色を表し,いわゆる〈黒化(ニグレド)〉の過程に相当する。…

【神田上水】より

…内田家は1770年(明和7)茂十郎の代に水元役の退役を命じられ,神田上水は幕府が直接経営することになった。水道料は水銀(みずぎん)と呼ばれ,武家方からは石高割で,町方からは間口割で徴収した。内田茂十郎は,1732年(享保17)から同家が水銀を徴収するようになったと称しているが,茂十郎が水元役を退役してからは江戸城御金蔵納めになった。…

【上水道】より

…上水の保護と確保のために水源や上水道の開きょ部分では,どこでもきびしい取締りを行い,ことに水を汚すことと,上水をかってに引くことはかたく禁じられていた。上水の使用料については,江戸では早くから水銀(みずぎん)と称して武家方,町方から水道料を徴収し,その経営にあてていた。【伊藤 好一】
[近代上水道の誕生]
 日本の近世都市の水道は,江戸時代を通じて(一部の都市では昭和初期まで)都市への飲用水と消火用水の供給施設として十分に機能していた。…

※「水銀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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