朝日日本歴史人物事典 「井出謙治」の解説
井出謙治
生年:明治3.5.9(1870.6.7)
明治大正期の海軍軍人。静岡県出身。幕臣井出勝三の長男。明治23(1890)年海軍兵学校卒業。26年巡洋艦「吉野」回航のためイギリスに出張,日清戦争(1894~95)後大尉となり,砲艦「大島」航海長,常備艦隊参謀などを歴任したのち,2年半アメリカに駐在。日露戦争(1904~05)中は山本権兵衛海軍大臣の秘書官を務めた。潜水艦の研究に従事し,海軍への潜水艦導入を献策したという。日露戦争後,最初の潜水母艦「豊橋」艦長,イギリス出張を経て,41年大佐となり,駐英大使館付武官などを歴任。大正2(1913)年少将に進み,呉鎮守府参謀長,第4戦隊司令官などを務めて,5年海軍省軍務局長に就任,加藤友三郎海相の下で八八艦隊の実現に尽力する。9年海軍次官となり,ワシントン会議に際して全権加藤友三郎の留守をあずかり,軍縮条約に関して海軍省内をとりまとめた。13年大将に進み,軍事参議官となる。15年退役。
(戸部良一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報