付渡(読み)つけわたす

精選版 日本国語大辞典 「付渡」の意味・読み・例文・類語

つけ‐わた・す【付渡】

〘他サ四〙
① もれなく全部に付ける。すべてに行き渡るように付ける。
今昔(1120頃か)二六「然て、人の食物共したる火の残て有けるを取て、宝倉共に次第に付(つけ)渡せば」
事務書類の引き継ぎをさせる。また、所領物品などを他人の手に渡す。
御成敗式目(1232)四条「犯科人田畠在家并妻子資財事。於重科之輩者雖渡守護所田宅妻子雑具者不付渡

つけ‐わたり【付渡】

〘名〙 引き継ぐこと。また、以前から引き続いていること。
※洒落本・二日酔巵觶(1784)「インニャもふ一っぱいのまふといふも付わたりのせりふつけうち連立床へ行」
※別れ霜(1892)〈樋口一葉〉一「薄醤油のきす鰈(かれひ)に育ちて、世のせち辛さなめ試みぬ付け渡りの旦那株とは覚えざりけり」

つけ‐わた・る【付渡】

〘自ラ四〙 (仕官奉公などを)引き継いで行なう。引き続いて勤める。
歌舞伎容賀扇曾我(1816)四立「譜代家来も只今は、曾我のお家へつけ渡り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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